第33話
◆
今日のみゆきはいつにも増して調子に乗っている様に振る舞っている。
きっと
あと、
みゆきはお酒に強くないくせに好きなのよね・・・こうなることは何となく予想できていたけど止められなかった。
「よし!私もここに住むぞ!部屋もあるんだし!いいよね!
「何を言っているんですか、みゆきさん。駄目ですよ。今日会ったばかりの高校生男子と同居なんて何を言い出すんですか」
「大丈夫よ。私が恋愛的な意味で好きなのは
冬樹も人間としては好きだけど、恋愛対象じゃないからセーフだよ!
「あ、赤堀さん!わ、わ、私なにも心配なんてしていませんよ!
たしかに赤堀さんみたいな魅力的な大人の女性が近くにいたら嫌だなぁって思う気持ちもありますけど。
それより、恋愛対象が
「そうよー。私はずっと百合恵のことをそういう風に好きだったの。
それなのに、私が新卒で仕事に追われている間に
私が先に好きだったのに!」
「ちょっと、みゆき。何カムアウトしてるのよ。わたしにだって昨日言ってきたばかりなのに」
みゆきは基本的に砕けた感じで友好的に振る舞うものの、本質的なところで他人と親しくなろうとしたがらない。
わたしだけが例外みたいな存在だったのに、神坂君と岸元さんは今日が初対面であるにも関わらずかなり気を許しているのが意外だ。
「いいのいいの。冬樹も美晴ちゃんもそんなことで色眼鏡で見るような人間じゃないよ。私にはわかる!」
「ソンナコトナイデスヨ。ミハルサン、オレハヒキマシタ」
「そう言ってもらえるのは嬉しいです、赤堀さん。って、冬樹くんひどくない?あははっ」
「見てくださいよ、みゆきさんのこの姿。ルームウェアが乱れているのに俺に抱きついてるんですよ。引くに決まってるじゃないですか」
「それ!私もうらやましかったの!」
岸元さんは冷静さを保っている様でいて意外に酔っていて、みゆきの反対側から思いっきり抱きついた。
そのふたりに抱きつかれている神坂君がわたしに助けを求める視線を向けてくるけど、それが可愛く見えて微笑ましく思える。
「それとさ、冬樹くん!私すごく不満があるんだけど、なんで赤堀さんが『さん』で私が『姉さん』なの!
たしかにこれまでずっと冬樹くん達のお姉ちゃんの様に振る舞ってきたけど、女の子なんだよ!
好きな人に『姉さん』なんて呼ばれるの、恋愛対象外みたいですっっっっっっごくイヤなんだけど!
ねぇ!
わかる!!!」
「あ、あの美晴姉さん」
「み・は・る・さ・ん!」
「み、美晴さん、今までずっとそう呼んでいたから馴染んでいるだけで、恋愛対象外というわけではないですよ」
「ホント!じゃあ、付き合ってくれる?」
「いや、いま恋愛とかしている余裕ないし、ね、わかるでしょ?」
「わかんない!」
「えー、こんなに酔った美晴姉さん初めてだけど、ここまでめんどくさい酔い方するの知らなかったよ」
「み・は・る・さ・ん!
今度間違えたらその口、塞ぐからね!」
「そ、それは手ですよね?」
「なに言ってるの、冬樹。
口に決まってるじゃない。
ね、美晴ちゃん」
「もちろんです!さすが赤堀さんはよくわかっていらっしゃる」
岸元さんは酔ったら記憶をなくすタイプなのかしら?
記憶が残っていたら大変そう。
そんな事を思っていたら、テーブルの上に置いてあった神坂君のスマホのメッセージアプリが着信していてロック画面に
「神坂君、スマホにメッセージの着信がありましたよ」
「先生、ありがとうございます。
ちょっと、ふたりとも離してもらえませんか」
神坂君は強引にふたりを引き剥がしてスマホを手に取りメッセージを確認した。
「すみません、ちょっと早めに返信しないといけないメッセージなので、ちょっと外しますね」
この場で返信すれば良いのにわざわざ自室へ戻っていった。
5分くらいして、神坂君はすぐれない表情でリビングへ戻ってきた。
その5分の間にみゆきと岸元さんは寝ちゃっていたので、それを見た神坂君はホッとしたような表情を浮かべてから、わたしの方へ寄ってきた。
「明日これからの事を相談するためにここへ二之宮さんが来るのですけど、大丈夫ですか?
最初ここに来ないように学校でと返したのですけど、学校が嫌だしここが近いのでと言うので仕方ないので了承してしまったんですよ。
先生がここにいることを知られたくないなら二之宮さんが来る時間に外してもらいたいのですが・・・
それと、できたら先生にも協力をお願いしたいのですけど、いかがでしょうか?」
「わたしがここにいる事を二之宮さんに知られても良いし、もちろん協力できることはさせてもらいますよ」
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