三姉妹の約束
euReka
三姉妹の約束
三姉妹は、一年に一度、必ずみんなで会う約束をしていました。
長女のミカは日本、二女のカリンは南極、そして三女のリンミは一番遠い冥王星にそれぞれ暮らしています。
「ハロハロハロー。南極は今日も真っ白な大地と、青い空が広がっています」
二女のカリンは、地球メールと宇宙メールを送りました。
「今度、三姉妹が会う場所は、長女のミカ姉がいる日本にしたいと思います。いつも会う場所にしていた木星のガニメデは、三カ月前に始まった太陽系戦争の戦場になっているからです」
長女のミカは、二女のメールを読んでメールを返信します。
「ハロハロハロー。今の地球も、自由国家連合と人民革新連盟の戦争がまた起こりそうだから安全とは言えません。でもまあ今の日本は、前の世界大戦で人口が百分の一になって見捨てられた状態だから、ミサイルが飛んでくることはないかもね」
二女のカリンは、長女のメールを読んで返信します。
「南極は、連合と連盟の両方の基地があるから、毎日激しい戦闘が続いています。地球上の公共交通手段も全く使えない状態。でも知り合いの友人の、叔父さんの知り合いが持っているプロペラ機で何とか日本へ行くことはできるから」
三女のリンミは、二女のメールを見て、高速宇宙連絡船の航行スケジュールをネットで調べました。
太陽系戦争の戦場を通る便は全てダメになっていましたが、三日後に出航する地球行きの便が一つだけあります……。
それから三カ月後、三女のリンミは月にある宇宙船ターミナルにいました。
「ハロハロハロー。私は何とか月までたどり着きましたが、地球の戦争がひどくて日本へ行けません。お姉ちゃんたちのことが心配です」
「日本という国はもう存在しないのに、なぜかミサイルが飛んできますし、どこかの軍隊がやってきて、、とても酷いことをしています。あなたは日本に来てはいけません」と長女。
「私がいる南極の基地は破壊されました。私は全てを失い、日本へは行けそうにありません」と二女。
三女のリンミは、月にある宇宙船ターミナルの待合室で、突然「うおー」と大声で叫んで暴れたため、職員に取り押さえられて宇宙空間へ放り出されました。
「宇宙服の酸素は、あと一時間ぐらいでなくなるから、私は死んでしまうかもしれません。でも、救難信号を出したからまあ何とかなるでしょう。一年に一度会えなかったら姉妹を解散するっていう約束は、果たせないかもしれないけど」
三姉妹の約束 euReka @akerue
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます