第4話 IF
男はしばらく考え、「わからないんだ、俺自身も」と重い口を開いた。
その子は微笑んだような表情を見せると「そっか」と言って、普段の彼女に戻った。
男は自分自身の気持ちを正直に伝えた。
それが良かったのか悪かったのかは判断がつかなかったが、その子はもう普段通りだった。
帰り際に男はその子から手紙を受け取った。
今時手紙を書いて寄越すなんて古風だと男は思った。
その子は家に着いたら読んでほしいと言うので、男は言われた通りその手紙を家に着いてから開封した。
内容はこのようなものだった。
"わたしと長い間一緒の時間を過ごしてくれてありがとう。"
"あなたにとって私はどんな存在になれたかな?"
”私はこの半年あなたと一緒にいて、とても楽しい時間を過ごすことができました。"
"あなたはどうだったかな? 同じ気持ちでいてくれたら嬉しいな。"
"私はあなたのことが大好きです。"
"あなたはそうではないかもしれないけれど、そうだとしても私はあなたのことが好き。"
"これからも遊んでね。"
男は何度もその手紙を読み返した。
純粋にそこまで想われていることが嬉しかった。
それは、手紙だったのもあり男の心の芯まで深く染み込んだ。
それからそう時間もかからずに男はその子に告白をした。
いつの間にか男の中ではその子のことが大切な存在になっていた。
2人は数年後に結婚して、子どもを授かった。
そんな愚かな男のお話。
愚かな男の末路 こばおじ @k0ba0jisan
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