第2話 1つの始まり

ぬいぐるみの世界。それは人間たちにとっておとぎ話でしか出てこない世界。

おとぎ話のような積み木でてきた建物。

フェルトの地面。ぬいぐるみたちが平和に暮らしている。

汚れてる場所なんてない。それは空想。どんな物にも汚れているのはある。

ぬいぐるみの世界にも荒れている町スラム街があるのだから。


スラム街

完全に壊れた、捨てられた人形が暮らす荒れた町である。私はそんな場所で今歩いている。目的地は特にない。

荒れた町を歩くだけ。建物はほぼ崩壊している。危険だし、治安悪いし。嫌で仕方がない

これが見捨てられた物の末路か。

私は捨てられた。捨てられる前は凄い愛されてたんだけどね。

なんとなくでしばらく歩いていると。


『ねぇ。あっ。あの』


後ろから声をかけられた。ナンパかしら。

それはないし、嫌だけど。


『なんですか?』


正面を向く。すると男の子がいた。クマのぬいぐるみで私とは全然違うわね。


『良かったら僕と持ち主に会いに行きませんか?』

『会いに行って何をするのよ』

『決まってるじゃないですか。復讐だよ』


復讐…。


『悪いわね。私、復讐する気になれないわ。でも会いたいわ。』


愛してくれたからする気にはなれない。だけど聞きたい。あの声を。


『じゃあ、行きますか?』

『断ったつもりなんですが』

『会いたいなら行きましょう』


強引だな。こいつ。そんなことを思っている私はなぜかそんな彼について行ってた。

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アングレカム・ドール 蘩蔞 小兎 @hakobe_koto

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