10月17日 奥出雲舞茸のポタージュ

 今日も体調はあまりよろしくない。

 天気は安定しているので、正直原因がわからない。熱などはないのだが……と思って先ほど測ったら微熱だった。おや?


 今日はミールキットでメインは決まっていた。南青山のイタリアン『ACQUAPAZZA』の日高シェフ監修のメニューで、「鶏ももソテービネガー風味」である。副菜として「イタリアン粉吹き芋」も入っているが、こういうメニューに合わせてそろそろ作りたいものがあった。ポタージュである。

 素材の味を活かし、とろみのある温かなポタージュは、涼しくなった時期にこそ食べたい。そんな時の為に、我が家にはブレンダーがある。久しぶりの出番である。

 私はキノコが好物であることは繰り返し日記に書いてきているが、秋の味覚・キノコはポタージュにもぴったりの食材である。マッシュルームが一番美味しいとは思うがポタージュに使うには値が張る。そこで私がよく作るのが、舞茸のポタージュなのだ。


 農業の盛んな島根県の奥出雲町では、キノコが名産の一つである。かさが大きく肉厚な椎茸のことは以前少し書いたが、(https://kakuyomu.jp/works/16817330654745085719/episodes/16817330657138249468)舞茸もまた美味しいのだ。

 奥出雲の舞茸は「延命水」とも呼ばれる湧き水を使い、丁寧に菌床栽培される。香りも歯応えも旨味も抜群で、両手で抱えなければ持てないような巨大な一株を買って帰ったこともあるが、美味しくてあっという間に食べきったものである。

 そんな奥出雲舞茸を使ってポタージュを作ってみたい。今日はそれにうってつけの日だと、そんな気がしたのだった。


 奥出雲舞茸をたっぷり200グラム、細かくほぐしておいて、小鍋でじっくりとバターソテーにしていく。立ち昇る香りの芳醇なこと。バターをまとわせながら水分を飛ばし、こんがりと香ばしくなっていく舞茸。嵩も半分ほどに減り、水気も無くなってきたら改めて水を加え、鍋底についた旨味を剥がして溶け込ませるように混ぜこむ。それをさらに牛乳で伸ばし、塩胡椒と一匙のデジョンマスタードで味を決める。これの粗熱がとれたらブレンダーでしっかりとなめらかなピューレ状にする。後は食べる直前に再度温めて器に盛り、仕上げに黒胡椒を少し振れば完成である。

 私がこのレシピを愛用しているのは、材料がすこぶるシンプルで、タマネギもコンソメも入れることなく、舞茸の味をダイレクトに味わえるからである。旨味と風味の強い舞茸だからこそここまで削ぎ落とせるのだろうし、手順も非常に簡単になる。あと一品、という時にも大変ありがたい。

 出来上がったポタージュを一匙、口に含めば舞茸の香りに満たされる。やはり奥出雲舞茸は、スーパーによくあるものよりも風味が濃い。ほんのりと香ばしく、コク深く、秋風が吹き抜けるようである。カンボジアの胡椒とマスタードもちょうどよく味を引き締めてくれる。実に美味しい。

 鶏ももソテーもパリッとジューシーに仕上がり、肉の付け合せとしての芋も良く、非常に満足度の高い夕飯となった。


 夕飯だけはどうにかなったのだが、その前後はやはり体がしんどい。どうしたものだろうか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る