6月4日 回転寿司
昨夜、映画『LEGO® ムービー』を観た。
名作だ、との評判は聞きつつ、なんだかんだでまだ観ていなかった作品である。
いやはや、噂に違わぬ傑作だった。
まず、恐ろしくテンポが良い。全てがレゴの世界、という前提を最大限に活かし、余計な説明をせず、軽快なネタや最高のアクションを次々に繰り出しながら、エンジン全開でストーリーが進んでいく。だが大事なところはちゃんと拾っていくから、決して置いてけぼりにならない。シリアスな場面との緩急も絶妙で、しっかり引き込まれる。
そして、レゴの持つ歴史と版権の使い方の上手さ。バットマンをはじめ、中つ国、スターウォーズ、リンカーンまで、「確かにレゴで出てたわ」というものが好き勝手に暴れ回る。バットマンの映画ではないのに主要キャラにバットマンがいる、というだけでも面白いのに、「そんなことよりサブウーファーの音をチェックだぜ」とバットモービル車内に自作の謎ヒップホップを流し始めるなんて、もはや卑怯である。
そして明らかになるテーマも、「ああ、レゴだもんな」とすとんと腑に落ちる。この作品がすごいのはやはり、徹頭徹尾「レゴ」の映画で、その魅力を活かしきり、「レゴムービー」としての正解ばかり見せてくれることだと思う。拍手を送りたくなるほどである。
ものすごく心に残るというよりは、いつ観ても何度観ても面白いし、観た後に心が軽くなる、というタイプの作品である。100分とは思えないほどの満足感があった。お見事。
明けて本日、外は晴天。
お出かけ日和というやつなのだろうが、我が夫は休日出勤、私もまだ万全ではない。
体調は概ね落ち着いてきたのだが、貧血だけ残っている。立ったり歩いたりすると頭がくらりとする。なんだかんだで立ち仕事である料理は、まだつらい。
と夫に伝えてみたところ、じゃあどこか食べに行くか、となった。色々検討した結果、比較的最近できた回転寿司屋へ行ってみることにした。
島根の回転寿司屋はどういうわけか、別の土地の名前を屋号にしがちである。島根に着いた初日、タクシーの運転手に「ここ美味しいですよ」と勧められたのは『回転すし北海道』だったし、今回訪問した店は『すし博多』という。別に全国チェーンではない。本社がそちらにあるわけでもない。むしろ寿司なのだから、地のもの、境港のものなどが美味しいはずなのだ。実に謎である。
『すし博多』は敷地内も謎だった。
まず出迎えるのは巨大なカニの飾りものである。かに道楽か。寿司ネタとしてのイメージが取り立てて強くはないと思うのだが。
門をくぐれば日本庭園。それを鮮やかな七色に変化するライトが下から照らしている。そしてBGMはアップテンポのジャズ。わからない。何を目指しているのだこれは。
店内はなかなかの人気で、満席のようだった。しばし待合室で待つ。メニュー表があったので眺めていると、サイドメニューに「博多特製塩ラーメン」があった。せめて豚骨にしないか、そこは。
既にツッコミどころが満載だったが、大事なのは味である。美味しければ、美味しければそれで良いのだ。
うん、美味しかった。
ネッカエッグの厚焼き玉子、炙り帆立、〆トロさば、どれも大変良かった。黒ムツの炙りという珍しいものもあったし、活き〆カンパチなどももちろん。サーモンの三種食べ比べができるのが面白い。食べ慣れたトラウトサーモン、旨味のパンチがあるノルウェーサーモン、素材の味が濃い境港サーモンと、違いを楽しめた。
全体的にとろりとした食感のネタと、赤酢のシャリの相性も良く、悪くない店である。
回転寿司と言いながら寿司ではなく写真入りの値札ばかりが回っているのは、すこし切ない光景ではあったが。
寿司のおかげで気力を取り戻した気がする。
明日からは溜まっている色々をどうにかしよう。
【追記】
今夜はストロベリームーン、一年で最も小さい満月の見える夜である。星の無い空に月だけが明るく、我が家からもその丸い姿が見えた。
先日どうにか書いた短編小説『月に蛍』は、この月と煙草にまつわる話となっている。
今夜の月と併せてお楽しみいただければ幸い。
https://kakuyomu.jp/works/16817330658139231943/episodes/16817330658141514694
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