6月5日 皆実の鯛めし、海南チキン風混ぜごはん

 ようやく、体調が戻ってきた。

 同じく空も、山陰らしいぼんやりとした晴れ。

 とはいえ今日は随分と暑い。


 先週できなかった諸々に、少しずつ手を付けた。

 新聞の整理だとか、玄関の片付けだとか、細々としたことを。

 それでハッと思い出した。「父の日」の手配をしなければならない。


 父の日は正直、母の日以上に悩ましい。

 これも消えものにしたいが、どちらも菓子にするのは流石に避けたいし、イメージも違う。これまでは必死に探し回り、燻製のつまみセットだとか、ロースト牛タンだとか、ややこだわり系のグルメを贈ってきた。

 それというのも、義父はかなり、美味しいものをご存知な人だからである。私が名前だけは知っているようなものも実際に召し上がっているようだし、ハイグレードなものにもお詳しそうである。並のものを贈るわけにはいかない。


 昨年は決め打ちしていたので楽だった。島根に来てしまったのでどうせなら地元の名物を、と思い、松江の『皆実』という店の「鯛めし」セットを贈ったのだった。

『皆実』の「鯛めし」は一風変わっていて、そぼろ状にした鯛の身、茹でた卵の黄身と白身を裏ごししたもの、大根おろし・ねぎ・わさび・のりをご飯の上に乗せ、出汁をかけて食べるスタイルである。これが非常に上品で食べやすく、一口の一体感がしっかりとあるのが良い。店で食べるときには、骨まで食べられるカレイの唐揚げも付いていて、これがまた美味しいのだ。

 この「鯛めし」は私が広島に住んでいた頃、家族で松江まで食べに行った思い出もあり、我が父に贈るものとしても最適だったと思う。

 父の日を過ぎてからだったが、我が夫とも『庭園茶寮 みな実』へ行き、日本庭園専門誌のランキング二位にもなった庭と「鯛めし」を楽しんだのだった。


 さて、今年はどうするか。

 考えに考えた結果、これまで控えていた手を遂に使うことにした。

 酒、である。

 何故これまで控えていたかと言えば、義父にドクターストップがかかっているとかいないとかいう話を聞いたからで、それでなお酒を贈るのはいかがなものか、と私が思ったからなのだが、まぁ会って食卓を囲めば構わず飲んでおられるし、島根の地酒を贈るという名目があれば良かろう、と私の中で決着した。

 今週末にでも、買いに行こうと思う。



 本日の夕飯は、ミールキットで「海南チキン風混ぜごはん」。シンガポールチキンライスと呼ばれるものを、手軽に食べられるものである。

 炊き上がったごはんに、パウチに入った海南ソースを混ぜ合わせ、蒸し鶏をその上で少し温める。それを皿に盛り、切った生野菜を乗せ、スイートチリソースをかければ、一切火を使わずに完成である。

 ゴマと醤油の香る優しい味わいのごはんに、しっとりとした蒸し鶏、シャキッとしたキュウリやパプリカが、甘辛いスイートチリソースと絡んだその味は、確かに海南鶏飯である。東京の専門店で食べたものは本当に美味しかったなぁと、懐かしく思い出した。


 明日はそろそろ、買い物にでも出たいところである。あまり気温が上がり過ぎないと良いが。

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