第21話 僕らの天才崩理
――数週間後。
一階。
吹き抜けホール。
ホールの中心に立つ秀斗の隣には楓音がいた。
「ねえ、秀斗」
「ん?」
「何で私が天才崩理しているの?」
「んー、私たち――がだね」
そう言う秀斗の目の前には、同級生が二人。
他クラスの男女の生徒。
C組の学級委員長の青柳と副委員長の木崎だった。
それに対し、こちらは秀斗と楓音の二名。
二対二の天才崩理だった。
「受理したもんね、秀斗」
呆れた様な顔で楓音は秀斗をじっと見つめる。
「まあ……、そうだね」
ため息交じりに秀人は呟く。
クラス対抗の天才崩理。
気がつけば、そんな行事が始まろうとしていた。
これはその行事の先行対決。
言わば、エキシビションマッチだ。
学園側として、C組の学級委員が選ばれる。
そして、生徒側として、秀斗と楓音が選ばれた。
良くも悪くも、目立ってしまったのだ――彼らは。
大井田戦から秀斗は、毎週の様に天才崩理に明け暮れた。
来るもの拒まず。
今の秀斗はそんなスタンスだった。
秀斗は不思議と天才崩理に没頭していた。
思考と言う、天からの理に。
すべての天才崩理に秀斗は勝利する。
今の学誉は15,000になった。
気がつけば、学園誌で秀斗は『機才』と呼ばれていた。
楓音はと言うと、この数週間で二戦ほど天才崩理をしていた。
元の学誉の影響もあったからか、楓音の学誉は32,000。
学誉ランキングは現在9位。
現在の大井田の学誉を超えていた。
「それで、どうするのよ」
「んー」
エキシビションマッチとは言え、受理してしまった天才崩理。
この天才崩理には、勝敗の報酬は何一つ無い。
負けても、学誉は減らないのだ。
「やるさ――勿論」
そう言って、前へ一歩踏み出した。
「そうね」
楓音はその言葉を待っていた様に、幸せそうな笑みを浮かべる。
―――
『二年B組 明智 秀斗・韮崎 楓音』
対
『二年C組 青柳 真治・木崎 実里』
クラス対抗戦。
エキシビションマッチ。
天才崩理を始めます――。
―――
「「「「天才崩理」」」」
ホールに響く、四人の声。
始まるのだ。
僕らの天才崩理が――。
僕が天才の理を崩すまでの物語 桜木 澪 @mio_sakuragi
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