** 八神教 経典 創世の章より






 かつての世界は、まるで人間のための世界でした。

 人々は森を切り開いて開拓し、動物を殺して毛皮を纏い、ごみを海や川に捨てました。


 人間たちの身勝手さに、常闇の神ニグレオデウスは嘆き悲しみました。

 その涙が雨を降らし、厚い雲をつくり、世界は闇に覆われました。

 太陽の光が消え、植物は枯れ果て、動物も死に絶えました。

 嵐が続き、大地はやがて海に覆われ、人間はいなくなりました。


 聖愛の女神サンクリディアうれい、涙ながらに祈りました。

 どうか、人間たちにもう一度機会を与えてやれないかと。


 何千年、何万年も時が過ぎました。

 やがて厚い雲は姿を消し、光が差しました。


 嵐は止み、大地が姿を現しました。

 風が種を運び、雨が恵みをもたらし、草木が育ちました。 

 再び生まれた人間たちは火を起こし、自然の恵みをいただきながら再び繁栄していきました。


 七神は願いました。

 もう二度と、人々が自然の恵みを忘れぬようにと。

 身勝手な振る舞いをせず、自然と共に在るようにと。






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