第16話 ヒロインではありません。

今日はローリー様の結婚式。


「ま、まぁ?彼が結婚したらミモザのことを王宮に呼んでもかまわないとおっしゃるから?仕方なく婚姻を許可したまでですわ!決して彼のことが好きとかそういうのではありませんからね!…そんな意地悪そうな顔で笑わないでくださいませ!王宮の専属絵師を呼びますわよ!?」


ローリー様語でいうならツンデレだろうか?

私を王宮に呼ぶのはやめてほしいし絵師も呼ばないでほしいが、それを口実に素直に婚姻を受け入れられたなら御の字だ。

政略結婚なんだからと、なんだかんだ王太子殿下のことを言っていたけど本当はお慕いしているんだと思う。私とライザをの幸せを一番に気にしてくれていたローザリーン様には幸せになってほしい。


結婚式にはさすがに私たちもいけない。ローリー様は嘆いていたけれど。


「平民だからと王族の結婚式に呼べないなんておかしいですわ!王族だってただの人間なのに…。…いやむしろミモたんが可愛すぎるがゆえに神なのでは…?

そうか、神は一人の人間だけに温情を与えるわけにはいかないものね…。

でもその神と友人なんて、私そんなにも前世で得を積んだかしら…。あ、いやそうな顔をしたミモたんもかわいい。絵師に書かせようかしら。」


本当に不敬だし、いちいち私のことを絵師に書かせようとしてくるのはやめてほしい。

私たちの結婚式で絵師を呼ぶのを許可してから何かとすぐに描かせようとしてくる。

ローリー様は隠してるみたいだけど、王太子殿下からライザ伝いに隠れてたくさんの絵を描かせていることも、なんなら私たちの本を作ろうとしていることも知っている。やめてほしい。


結婚式への参加は難しいが、その代わりに下町にもパレードが通ることで妥協したらしい。

妥協なのかわからないけど。


純白のドレスに身を包んだローザリーン様は本当にきれいだった。

王太子殿下もいつもとはちがう王子然としたとても豪華な服をまとっていた。

ローザリーン様を見つめる視線もとても愛に満ち溢れていた。


案の定というか、みんなに紛れてパレードを見ていた私とライザにローザリーン様は気がついた。

さすがにいつものような反応は示さないけど、とても嬉しそうな顔をしていた。

王太子殿下もこちらに気が付いて手を振ってくれた。

周りの人たちもそれをみて歓声を上げる。


「あぁ、やっぱりローザリーン様こそが本当のお姫様ヒロインだわ。」


やっぱり、私はヒロインではありません。

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ヒロインではありません。 あんぬ @mugi_key

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