最強の女子高生が金玉で男を殺す話

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最強の女子高生が金玉で男を殺す話

 ここは日本の東京都の某所。スマホを見て顔を俯かせ、既に満員の電車に入っていく。今日も今日とて楽しく儚い青春を謳歌するため……はたまた非常で無情な社会の歯車としての役割を果たすため、人々は死んだ魚のような目をして車両の揺れに身を委ねる。


 そんな人類の有象無象に混ざり、一見他と何も変わらない1人の女子高生も、貴重な座席をゲットし、イヤホンで音楽を聞いていた。


 その女子高生の名は玉金たまがね茎陰くきかげ。少し離れた高校に通うピチッピチのJKである。長く艶のある黒髪に清楚な顔立ち、皺の無い制服姿は、見る者、つまりはいい年こいたおっさん達を魅了、つまりは興奮させるに足る魅力があった。


 暑苦しいおっさんの視線に晒されながらも動じる様子の無い玉金は、全くもって危機意識が無いように見える。しかし彼女には、自分が決して襲われない……否、襲われても平気だと確信する理由があるのだ。


 電車に揺られること十数分。あと二駅で、玉金の通う高校の最寄駅へと辿り着くという、そんな時だった。


 玉金はピクリと眉を動かすと、耳につけていたイヤホンを外した。


 そして目指す駅の一つ前の駅で、何故か電車から降り、ホームを歩き出した。


 早足に入り組んだ駅を進み、迷わず改札を通る。これで玉金は再びお金を払うか歩くかでしか高校に向かえなくなったわけだが、街を進む玉金に迷いは一切無い。


 やがて誰も通らないような建物の入り組んだ場所の裏路地にたどり着いた。常に何かしらの音が聞こえる東京。その中でも騒音が僅かに小さくなるほど社会から離れた場所……言わば、裏社会の中。


「……ほら、やりやすい所に来てやったわよ。出てきなさい」


 玉金は見渡しても誰もいないその場所で、そんなことを口にした。


 すると。


「……わざわざ自分から殺されやすい場所に向かうとはな」


 世間一般的に言うなら“イケヴォ”に分類される声が、玉金の背後から響いた。


 玉金が振り返れば、そこにいたのは紛うことなき“イケメン”だった。綺麗に整えられた金髪、外国の血が混ざった色気のある顔。日本人の玉金からすれば、少しいい匂いのする一見して完璧な“タイプ”だった。


 しかしてその正体は、某国より使わされた殺し屋だ。


「……“雄殺しの玉金”……男性の局部を狙った武術を操り、計千人以上の男をあの世に送った世界最強の殺し屋……玉金茎陰」

「……そこまで分かっていて何故男のあなたが来たのかしら?」

「クックックッ……物語の都合だ」


 他の人と何も変わらない、高校に通って部活をして、時に笑い時に悲しみ、時にはちょっと悪いことをしてしまう1人の女子高生玉金茎陰……そんな人物はそこにはいなかった。


 そう、男が言った通り、そしてタイトルから察せられるように、玉金は世界最強の殺し屋なのだ。


 16年と少し前、一般の家庭に生まれた玉金は、物心がつき始めた時期に両親をある殺し屋の男に殺された。人格形成に大切な幼少期にそんな事件があれば、玉金の心は壊れ悲惨なことに……はならかった。それから玉金は、如何にして両親を殺した男を苦しめて殺すかを必死に考えた。


 そしてたどり着いた極地(?)が、今玉金が操る武術……精殺術せいさつじゅつである。


「……お前がいるとどこの国も怖いんだよ。日本というたったの一国が、人類の半数を恐怖に陥れる少女を内に秘めている……そりゃあどこの国も怖がるもんさ。大体の国のトップが男なんだから」

「御託はいい。始めましょう」


 玉金の言葉に苛つきを覚えた男は、腰に仕込んでいたナイフを引き抜き、すぐさま玉金に飛びかかってきた。


 その速度は尋常ではなく、端的に表すなら目で追えないほど、フィクション的表現を使うしかないほど、それぐらい速かった。


 しかし、玉金はその動きをぴったりと目で追っていた。


 次の瞬間、玉金は動いていた。肩にかけた鞄に付いているキーホルダーが、カランと音を立てるより早く、玉金は男の股下を潜っていた。


 そしてその刹那……玉金は男の股間……睾丸をむんずと掴むと、思いっきり時計回りに、全力で、なんの容赦もなく“捻った”。


「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!」


 尻尾を切られたトムのような叫び声を上げ、男は股間を抑えて地面に倒れ伏した。


 そう、これが世界最強の殺し屋、玉金茎陰の操る精殺術である。


 本来、睾丸への攻撃で人間の雄が命を落とすことは無い。現実に昔の宦官かんがんと呼ばれた人達も、睾丸を切除されても普通に活躍して長生きしていたし、家畜に関しても去勢は普通に行われている。


 睾丸には止血不能な出血を引き起こすような太い血管も、損傷して生命維持や運動に支障をきたすような神経組織も無いからだ。


 しかし、睾丸への攻撃で死に至るほぼ唯一の例が存在する。


 それが“精巣捻転症せいそうねんてんしょう”と呼ばれる病気である。


 この呪術廻戦に出てきそうな名前の病気は、睾丸の中身が捩れることによりかなりの苦痛を強いられ、おまけに血流が止まり腐りだし、壊血病等を引き起こし最悪死に至るというなんともまあ恐ろしい病気である。


 精殺術は、正確無比な技術により精巣捻転症を故意に引き起こし、男性をこれ以上無いほどの苦痛の海に沈めて体を腐らせて殺すという武術なのだ。


「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!! だずげでえええええええええええ!!!!!」

「汚い声ね。もしもし“先生”? “119”お願いします」


 地獄の悲鳴を収束させたような叫び声を無視し、玉金はどこかに電話をかけた。


 電話を切ると男が既に涙と鼻水と汗に塗れた顔を玉金に向け、手を伸ばしてきていた。


「だずげでぐだざいいいいいいいいいいいいい!!!!! おねがいでずうううううううう!!!!!」

「……助けてほしい? 私なら今すぐ戻してあげられるけれど?」

「はいいいいいいいい!!!!! なんでもじまずうううううううううう!!!!! だがらあああああああ!!!! だがらああああああああ!!!!!

「なら土下座して私に許しを乞いなさい。もう二度と私に関わりませんって」

「も、もうにどどあなだざまにはががわりまぜんんんんんん!!!! だがらだずげでぐだざいいいいいいいいいいい!!!!!」


 その時の男の目は本気だった。己のプライドだとか自国の命運だとかそんなものは道端の鳩の糞よりどうでもいい。ただ、今の苦痛から逃れたい。本気でそう思っている目だった。


 玉金はその男の叫び声を聞き、一瞬瞑目し……


「それが聞けてよかったわ。じゃあ、さようなら」


踵を返して裏路地を後にした。


 それから玉金の“119”が到着するまでの10分弱、東京のとある場所で、悲痛な叫び声が絶えず響き渡っていた。


 そして無限にも思える数分の後、男はやってきた救急車に運び込まれた。その間も激痛に苛まれ、男の顔は見るも無惨なものに慣れ果て、色々な体液でベッチョベチョになっていた。


「はやぐうううううううう!!!!! なおじでぐだざいいいいいいいい!!!!!」

「あー、それは無理な相談だな」

「……え……?」

「私は玉金くんのサポートをしている組織の者でね。悪いが君を山奥に捨てさせてもらう」


 数ヶ月後、東京郊外の山奥で、睾丸から腐っていったという変死体が発見されたニュースが流れたとか流れてないとか。


 ちなみに、睾丸に通う神経は発生学的に女性では卵巣に関わる重要な神経であり、睾丸を殴られた痛み=卵巣を殴られた痛みと言えるかもしれないが、物理的に不可能なので女性が睾丸を殴られた痛みを体験するのは不可能である。




最強の女子高生が金玉で男を殺す話




※※※※※



 この話はYouTubeにて投稿されている、「科学はすべてを解決する![くられwith薬理凶室]」さんの二本の動画を元に執筆させていただきました。ここまでお読みくださった方は、是非ともその動画もご覧ください。



キ○タマの真実【前編】 痛いのは人間の設計ミスだった!?


https://youtu.be/441UYZ9Su6c



キ○タマの真実【後編】 男の精神を破壊する 金的を超える最強奥義


https://youtu.be/AswA82aezJU


 私の近況ノートにあとがきがあります。よければ。


https://kakuyomu.jp/users/ScandiumNiobium/news/16817330654682570624

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