第8話 襲撃
「ではもしもの時はまた私の所に来てくれ。私は魔女に関して何もしていないからな。それに闇夜殿の様な強者を味方に引き込めるなら何でもしよう」
「……ならもしもの時は頼む」
俺はそれだけ言って野橋父———真也さんと別れた。
今回は意外と色んな事を知る事が出来たので、喧嘩を売ってきた野橋にも少しは感謝してやるとしよう。
俺はビルから出ると、誰にもバレない様に【隠密】を使い、全速力で家に帰る。
もう魔女の話を聞いてから姫花の安否が気が気ではなかった。
新幹線を越える速度で走ったお陰で、僅か数分で家に戻ってこれた。
俺ははやる気持ちを抑えて玄関の扉を開ける。
「ただい———」
「———遅いよお兄ちゃん!! 折角作ったご飯が冷めちゃうでしょ!」
そこには学生服の上にエプロンを着た姫花の姿があった。
ただ2日連続遅かった俺に怒っている様で、頬をいっぱいに膨らましている。
俺はそんな姫花を無言で抱き締める。
「お、お兄ちゃん!? ど、どうしたの急に!」
「いや何か姫花をぎゅっとしたくなってな」
「きもっ! お兄ちゃん! そんな事私じゃなかったら嫌われるからねっ!!」
「これでも俺を嫌わない姫花マジ天使」
これでも俺を嫌わない姫花マジ天使。
「天使っ!? お、お兄ちゃん今日どうしたの? 何か嫌な事でもあった?」
「まぁあっと言えばあったな」
「なら私が頭を撫でてあげよう! よしよし……大丈夫だよ……お兄ちゃんならきっと大丈夫だって私は信じてるからね……」
俺は姫花に頭を撫でられながら、姫花に危害を加えようとする奴は誰であろうと消してやろう、と心に誓った。
……俺の妹の母性がエグい。
▽▲▽
———夜。
俺は姫花の事が心配で全く寝る事が出来なかった。
そもそも姫花はいつ襲撃やらなんやらを受けているのだろうか?
最低でも俺の中で姫花がおかしな動きをしている所を見た事がない。
と言う事は俺が姫花の側に居ない時、又は俺の意識がない時だ。
正直どうして俺が姫花が魔女までは分からなくても何かしら力を持っていると気付かなかったのか見当もつかない。
そしてそんな俺ですら気付かないのに、この世界の人間が姫花が魔女で、更には属性まで分かるもの意味が分からん。
「未来でも分かるのかなぁ……流石にそれはないか」
俺がそんな事を考えていた時———ふと姫花の気配が動いた。
最初はトイレかと思ったが、直ぐに玄関の扉が開く音が聞こえる。
「ちょ———こんな真夜中に女の子が外に出たらダメだぞ!」
俺は直ぐ様ベッドから降りると姫花を追いかける。
しかし姫花に追いつく前に、姫花の気配が変化した。
そう———一般人ではなく超常者の気配に。
同時に気付く。
此方に近付いてくる超常者———恐らく魔術師であろう気配。
数は7人。
どれも異世界では雑魚程度の力で、野橋父よりも断然弱い。
と言うか野橋父はそれなりに強かった。
異世界で言う所の中堅並みだな。
隠れていた奴らは雑魚だったけど。
俺はその超常者と姫花がどう言う関係なのか知りたかったため、【隠密】を使って気配を消して、姫花の跡を付ける。
いつでも助けられる様に準備も欠かさない。
姫花は見た事もない黒いドレスを身に纏っており、空を飛んでいる。
姫花って空飛べるんだな……俺は飛べないのに。
若干羨ましく思うも、音も立たず呼吸も減らして追い掛ける。
今の所姫花にも魔術師にもバレていない。
姫花は家から少し離れた山の中腹辺りのポッカリと空いた草原に降りた。
俺は近くの木の裏に隠れる。
そして姫花と魔術師達の話を盗み聞き。
「いい加減諦めたらどうだ? 『災厄の魔女』」
「嫌です。何で私が貴方達の駒にならないといけないのですか?」
「我が主が言ったからだ」
姫花の質問に意味分からない返答をする魔術師。
コイツら日本人か?
一度小学生から日本語と国語を学んできた方が良いと思う。
「貴方達の主人がどんな人か知らないけど、一々私に構わないでください」
未だ強気な姿勢で相手取る姫花。
よく言った、その姿にお兄ちゃんは感動しているぞ。
今すぐ大声で「頑張れ姫花ッッ!! 負けるな姫花!!」と応援したいくらいには。
しかし相手も相手でしぶとかった。
「我が主人の命に背くとは……何たる愚行! こうなれば強行手段を取るしかない!」
「上等です。また返り討ちにしてやります」
1人の男がそう言うと、7人全員が戦闘態勢に入る。
姫花もそれに伴い魔力を動かし始めた。
そんな殺伐とした雰囲気の中———
「———はい、ちょっとストップ」
「!? 何者だ!?」
「お兄ちゃん!? ど、どうして此処に!?」
俺は姫花を背に守る様に両者の間に立った。
「魔術師の皆さん、少し俺とも話をしませんか?」
どうせならある分だけ情報を搾り取ってやろう。
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下⇩⇩⇩の☆☆☆を★★★にしてくれると作者のモチベ上昇。
偶に2話投稿するかも。
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