第3話 改めて確認

 ———その日の夜。


 俺は妹の姫花に異世界でも腕を磨いたオムライスをご馳走した後、手短に風呂に入って少し早いが「もう寝る」と言って部屋に戻ってきた。

 その時に姫花が「どうしてそんなに早く寝るの……?」と訝しげに訊かれたが、面倒な事に巻き込まれたので疲れたと言うと、


「そうだよね……いつもと違う方があったら疲れるもんね。頑張ったねお兄ちゃん」


 とよしよしされた。

 なんかその瞬間だけは年が逆転した様に感じたのは内緒だ。


 俺は自室の扉を開ける。

 中は俺の記憶と全く同じだった。

 まぁこの世界では3時間しか経っていないのだから当たり前なのだが。


「懐かしいなぁ……今まで座るのが嫌だった学習机に座るのさえ嬉しく感じるとは……」


 やはり異世界と現代では技術力に差があり過ぎて、同じ様な椅子でも座り心地が違う。

 何なら一生座ってたい。


「よし、今日から忘れた所を少しずつ覚え直して行くか」


 俺は高校1年の教科書を棚から取り出して勉強を始めた。




▲▽▲




「よし、取り敢えず今日はこのくらいにするか」


 俺は時計が12時を指した辺りで勉強を止める。

 やはり3年ものブランクがあると高1の教材でも分からない所だらけだった。


 これは次のテストは間違いなく赤点確定だろうな。


「まぁそんなもんは今はいいとして……取り敢えず確認するか———【ステータス】」


 俺の声と共に目の前に半透明のボードが現れる。


———————————————

鈴木闇夜 17歳 男 異世界人

【職業】暗殺者(極)

【身体ステータス】

【体力】36700/36700

【魔力】16400/16400

【筋力】7400

【防御】6200

【敏捷】9999

【器用】9999

【知力】8530

【魅力】82

【幸運】85

【スキル】

《暗殺術・極》《気配感知》《隠密》

《透明化》《適応》《忍び足》《冷静》

《身体強化・極》《限界突破》《魔力操作》

【魔法】

《炎魔法・強》《水魔法・強》

《風魔法・強》《地魔法・強》

《光魔法・中》《闇魔法・極》

———————————————


「相変わらず惚れ惚れする程のステータスだな」


 俺は3年間の頑張りの集大成を見て、少し頬が緩む。

 それと同時に微妙な表情になる。


「……これ、この世界で必要か?」


 そう、此処まで化け物ステータスだと、この世界では逆に生活しづらそうだ。

 普通の人間は成人男性でも体力と魔力は共に1000、そのほかは100くらいだがな。

 魅力と幸運はMAX100だから……平均60くらいだろう。

 と言う事は———


「間違いなく宝の持ち腐れだな」


 強いて言えば妹を男から守る事くらいしか出来ないな。

 異世界では暗殺者だったから力をセーブするのには慣れているが、異世界よりも貧弱な現代ではボロが出てもおかしくない。

 

 俺はそこまで考えてふと1つ頭をよぎった。


「そう言えばこの世界には魔法は無いのか?」


 帰還した森では薄かったものの、確かに魔力があった。

 なら異世界ほどでは無いにしろ、何か不思議な力があってもおかしく無い。

 もしかしたらモンスターすらも居るかもしれないな。


「……そう思ったら不安になってきた……」


 主に姫花が襲われないかとか何かに巻き込まれないかとか。

 

 俺の家族は俺が中1で姫花が小5の時に亡くなった。

 原因は不明。

 俺と姫花がばあちゃんの家に泊まりに行って帰ってくると家で、何かの刃物で斬られたかの様にズタズタにされて死んでいた。 

 あれは結局通り魔や空き巣犯の仕業と言う事で処理され、現在も犯人は捕まっていない。


「……もしかして2人は———」


 俺は異世界で同じ様に殺された家族の姿を見た事があった。

 

「よし……ちゃんと調べてみるか。そしてもし犯人が分かれば———」


 俺は常時発動する《冷静》を意識して切り、拳を握る。




「———必ず地の果てまで追ってでも殺す」




 殺すのは暗殺者の得意分野だ。

 


 


————————————————————————————

下⇩⇩⇩の☆☆☆を★★★にしてくれると作者のモチベ上昇。

 偶に2話投稿するかも。

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