その2 2024年のマイブーム
コロナ禍の大学生活。今でこそノーマスクで外に出歩くのがデフォルトになりつつあるが、やはり以前は厳しい戦いだったことは言うまでもない。
ようやく外に出やすくなった今、私を虜にしているあるもの…。
それはラーメンである。
数あるラーメンジャンルの中でも、大きい丼に、ボリュームたっぷりの麺、チャーシュー、ニンニク、モヤシなどが入った「二郎系」にどハマりしている。
昔から名前こそ知っていたが、なかなか一歩を踏み出す勇気が出なかった。
そんな私の二郎デビューは昨年の夏。
課題を終わらせる為に大学のキャンパスに居残りをしており、やっとの思いで課題が終わったのが22時。
とりあえずあてもなく帰路につき、友達との解散地点である新宿に向かう電車内でのこと。
「腹減ったくね?」
友人Aがふと言った。
それもそのはず、お昼を学食で済ませたのが13時で帰路に着いたのは22時すぎ。課題のお供にチョコレートを摘んだくらいなので、我々の空腹メーターはほぼマックスであった。
「なんか食うか」
友人Bが言った。
向かっているのは国内最大のターミナル駅、新宿。飲食店は山ほどある。
ということで、特にプランを決めず、歩きながら決めらことになった。
電車を降り、夜の歌舞伎町を歩く。その日は金曜日ということもあり、終電まで1時間ほどであったが、街中の居酒屋などは人でいっぱい。
そんな中、23時をすぎているのにも関わらず、長い行列を発見。その列を辿って行った先に見えたもの。
黄色ベースに黒色の文字で書かれていた「二郎」の文字。シンプルだが圧倒的な存在感。
「う〜わ、並んでるねぇ」
「マジで食いたくなってきた、食わね?」
そう言い、最後尾に接続する。
列から、店内が見渡せるので、店員さんが、客に丼を
渡している様子が伺える。
俺は心の中で叫んだ。
……うわ、サイズでけええええぇ!!
びっくりすると同時に、あれを平らげることができるのかと不安でいっぱいになった。
列はどんどん消化され、食券を買える位置にまで到達した。
券売機は至ってシンプル。「ラーメン」「豚入り」「豚W」「大ラーメン」「大ラーメン豚入り」「大豚W」と「つけ麺」そして、その他トッピングが諸々。
「豚入り」という商品があるくらいなのだから、普通のラーメンにはチャーシューは入っていないのだろう。ガッツリとは聞いていたが、案外シンプルなラーメンなんだとその時は思っていたので、迷わず小ラーメンの豚入りを選択。
券売機を通り過ぎ、隣の給水機で水を汲み、レンガを持つと、店員さんがこちらを向いて言った。
「先頭からそちらのお兄さんまで、食券見せてください」
店員さんの声と同時に、周りの客が一斉に自身の食券を見せる。
「…はい、ありがとうございます」
と返事すると、またすぐ調理に戻る。
しばらく待つと、ようやく自分たちの番がきた。
食券を置き、ひたすらラーメンを待つ。携帯を見るお客もいれば、ただひたすら腕を組み厨房を眺める客もおり、様々。
数分待つと、店員さんが目の前に寄ってきて言った。
「はい、お客さんニンニク入れますか?」
咄嗟の出来事であったので、言葉の意味をよく理解せずに思わず「…は、はい!」と言ってしまった。
少し待つと、目の前のカウンターに大きな丼が。
受け取るとびっくり仰天。丼いっぱいにスープ、麺、その上にはもやし。そして握り拳サイズの大きなチャーシューが四つも。
思わず、唾を飲み込む。
こ、これ食い切れるのか…??
そう悩んでる暇もなかった。なぜなら周りのお客さんは受け取った途端に写真をサッと取り、もうすすり始めていた。店内には店員さんの会話のみで、客はひたすら丼と睨めっこしている。
私も遅れまいと、手を合わせて、まずはスープから一口。
う、うまい。どういうジャンルなのかグルメでもなんでもないのでいい表現が思い浮かばないが、味濃いめが好きな私にとっては相性の良いスープであった。
麺もスープによく絡む太麺、相性が良い。
そしてとにかくチャーシューの存在感にビビり散らかしていたので、チャーシューをおかずに麺をすすった。
とにかく周りのお客さんの平らげるスピードがえげつなかったので、「あ、ここは早く食べなきゃいけないお店なんだ」と察し、汗びしょびしょになりながら食べた。
早食いが功を奏したのか、満腹感が来る前に無事完食することができた。
帰り道はとにかく幸福感に浸っていた。
最初は食べれないと思っていた大きさを平らげた達成感。未知への世界を踏み出したワクワク感。そして満腹中枢が刺激された安心感。といろんな感情が入り混じっていた。
ここから毎週のように通うようになった。まさかデビュー日は今のようにどハマりするとは思いもしなかった。
現在は、X(旧Twitter)にて、ラーメンアカウントを開設し、年代問わず様々なジロリアンと交流をしている。
全国には44店舗の二郎があるが、今日現在までに32店舗を制覇するまでになった。とにかく新しい店を訪問するのが楽しくてしょうがない。
雰囲気、味の違い、食券の買うタイミング、並び方など、店によって本当に様々なのが面白い。
夢は全店舗制覇目標。
平凡な大学生のひとくちエッセイ集 にゃんちら @nyanchira
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。平凡な大学生のひとくちエッセイ集の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
春はあけぼの、夏は夜/mamalica
★112 エッセイ・ノンフィクション 連載中 305話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます