落ちませんか?
ミカさんは、そわそわした気持ちでそれを見つめていた。
それは、上にあがったかと思うと、ツツツと下にさがる。不規則にバウンドしたりする。
ケイさんの横に座り、その動きをじっと見守る。
上、下。上、下。とまる。また、上。
猫が、ねこじゃらしを目で追いかけるように、ミカさんは猫パンチを繰り出したいのを必死にがまんした。
だって、触ったら壊れてしまいそうだから。
「あわわわわ」
「なんですか?」
「そ、それは」
「喉仏?」
「そうです」
ミカさんは思い切って尋ねてみた。
「落ちないんですか?」
「落ちませんね」
落ちないそうです。
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