ミカさんは、トイレをいい匂いにしたい

 ミカさんはトイレをいい匂いにしたかった。



 そのためGoogleの検索ワードは



「トイレ 芳香剤」

「トイレ いい匂い」

「トイレ すてき」

「トイレ 癒し」



 といったやや不安な言葉でいっぱいになった。




「なぜ、トイレをいい匂いにしたいのか?」



 ——よくぞ聞いてくれた!



 ミカさんはまあまあ、お茶でも飲んでいきなさいよと読者諸君を椅子に座らせる。





 ——クイズです。トイレのドアを開けたとき、ミカさんはなんて思ったでしょうか?



「えっ、急がないともれそう? ……とか?」



 ——ブブーッ。残念ながら、いつも余裕をもってトイレに向かっています。



 ——正解はー? 



「正解は……」




 ——トイレに女神はおるんかいな? でした!




 ——ああ、ちょっと待って。待って、置いていかないで。もうちょっと話そうよ。




 ——ほら、なんか歌であったでしょ? トイレには~それは~それは~きれいな~って。



「トイレの神様」




 ——そうそう。私の想像ではね、トイレの女神様はいつも便器の上に座ってるの。



「うん?」




 ——それで、トイレのドアが開くたびに「ウェルカム マイ ルーム!」って出迎えてくれるの。



「うん?」




 ——そう思うとトイレが楽しくない?



「楽しいより、ちょっと落ち着かないんですけど」



 ——まあまあ、その時はその時。でね、女神様はきっといい匂いがすると思うの!



 ——トイレのドアを開けた時、お花畑に踏み込んだような香りに包まれたいのよ。



「トイレだけに?」



 ——それな!!


 ——なにかいい方法ないかなぁ。




「アロマは?」




 ——アロマはだめ。ユウくんが「鼻になにかが飛び込んできた」って言ってたから……。




「強烈な匂いだったんだね」



 

 ——色々な商品を試してきたんだけれど。



「どれが良かったの?」




(息を吸い込む音)



 ——しょう~しゅ~りき~~~!!!





 ——と見せかけて、ファブリーズの圧勝です。



 ——けど本当はイソップのポストプードロップスが欲しい。



「約三千円」


 ——ぐっ……。


「アマゾンで七千円」




            終

         制作・著作

         ━━━━━

          Mika

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