最終話
僕たちがあの“災厄”のダンジョンを攻略してから早くも半年が経った。
“災厄”攻略当時はあのあと、陸くんたちメンバーと集まるだけでも一苦労なほどのお祭り騒ぎだったが今はそれもだいぶ落ち着いた。
今も時々一緒にダンジョンに潜っている。その時、僕は回復術師ではなくアタッカーとして働かさせられる。まぁ、仕方ないことだ。
そして、美玖について。美玖は当初、美玖の身に起きていたダンジョン病のこと、両親の死などを知ったことでかなりショックを受けていたが、今は元気になっている。そして、時間が停まっていて全てが七年前のままだった美玖は小学校ではなく見た目の年齢通りに幼稚園に通い始めた。
「友達が出来たぁ〜」や、「あのね、今日はね、鍵盤ハーモニカを弾いたんだよ」と言って夕食をとるときに笑っている姿を見るたびに今でも胸にくるものがあり嬉しくなる。
「ん〜やっぱり、美玖ちゃんは可愛いね〜」
そんな様子を見るたびにそう言って美玖に頬擦りをしている奏多。
全てが終わったあとに奏多に会いに行ったら流れで付き合うことになった。
流れといっても僕自身彼女に好意に近い何かを抱いていたのは事実なので、流れというのも不正確ではある気がする。
それに最近は彼女と会話しているだけで少し胸が高鳴ってしまっているのもまた事実。
僕の人生を変えるきっかけとなった九条との出来事、女神さまに飛ばされた先の異世界でのこと、そして現実世界に戻ってきてからの生活。思い返してみれば、色々なことがあった。
そんなときに常に隣にいてくれたのは——
「奏多」
「ん?何、天くん?」
「……改めて一緒にいてくれてありがとう」
「フフ……急にどうしたの?」
「なんとなくお礼を言いたくなった」
「そう……。私の方こそありがとう」
微笑んでくる彼女。
僕は彼女をそっと抱きしめる。
「ちょっと……美玖ちゃん見てますから」
そんな少し慌てたような恥ずかしがるような声が聞こえてくるが聞こえないふりをして彼女の温もりを感じる。
「もう……バカ」
平穏で幸せな日々。
そんな生活を思い描きながら僕はそっともう一度漏らした。
「ありがとう」と
ー完ー
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ここまでお付き合いいただき本当にありがとうございました!ひとまず、これにて本編は完結ということになります。(本編はといっても特別編を書くかどうかは分かりませんが)
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あとがき→https://kakuyomu.jp/users/PokeDen/news/16817330660574641083
カノジョをNTRれ、ダンジョンに置き去りにされた探索者養成校きっての無能回復術士の僕ですが、異世界でチートを手にして帰還したのでゆっくり復讐でもしていこうと思いま 儚キ夢見シ(磯城) @PokeDen
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