第25話
「お願い!殺さないで……、殺したら上野くんが殺人犯になっちゃうから……」
「……」
証拠とかも一応魔法で全部消せるんだが。
「西野さん、こいつがしたことを分かって言ってる?西野さんのこと……犯そうとしたんだよ」
「……そうだよ、分かってる。本当に嫌だった。……でも、それより上野くんが、私を守ってくれた人がいなくなる方が嫌なの!」
「……」
死ぬわけでもあるまいし……。でも、これはあくまでも僕だけじゃなくて西野さんの復讐でもあるのか……。
それにこんな悲しそうな、懇願するような目をされちゃうとな……。異世界でのあいつとも重なってな……。
「……分かった。それなら代わりに、九条が二度とこんなこと出来ないようにさせてくれ」
「どういうこと?」
「
九条の方に目を向けるといつの間にか這って床を進んでいたらしく、ドアの前に辿り着いていた。別に逃げ出せないからいいけど。
「クソ!なんで鍵を開けたのに開かないんだよ!」
魔法で封印しているから。
「これで終わりにしてやるから逃げるなって」
再度、九条を捕まえて今度は魔法で動けないようにしっかりと拘束する。変なところが斬れたりしにようにな。別に治せばいいから殺しさえしなければ何しても大丈夫なんだけど。
「うう、許してくれ……、お願いだから殺さないでください……」
僕と西野さんの話を聞いてなかったのか?
「……殺しはしない」
僕は九条に今後一切女性に接近できないようにする魔法をかけた。保険として誰かへの依頼なども出来ないように、女性に関することを話したり、書いたりできないようにしておいた。
よしこれで
次は物理的に——。ただ、その前に……
「西野さん、ちょっとだけ耳塞いどいて」
「えっ、いきなり何?」
「取り敢えずお願い」
こいつの叫び声とか聴かせたら耳に毒だからな。西野さんが耳に手を当てて塞いだのを確認すると僕は物理的な行動を起こした。
「——斬れろ」
「ん?あっ、ああ「
想像の三倍ほどうるさかったので、耳を塞いでいる意味をなさないと判断し、西野さんの耳から九条の声をシャットアウトする。
気付かないうちに黄色に染まっていたやつのズボンが今度は真っ赤に染め上げられていく。いつ漏らしてたんだよ……。まぁ、茶色くないだけいいか。
流石にうるさすぎて西野さんと会話ができなさそうなので僕は自分にも防音魔法をかけた。
「西野さん、こいつのことどうしたい?永遠に悪夢の世界に閉じ込めたいとか、毎日サンドバッグにしたいとか要望があれば聴いておくけど」
「えっ?私は特に……。強いて言うならもう九条くんが私に構ってこなければそれでいいかな……」
「分かった」
あまりの痛みに足をバタバタさせながら転げまわっている九条の腕とあそこなど破損させた部分を再生させる。生かすんだったら証拠は残したくないからな。
痛覚が収まっても体は覚えているらしく、無言で震えている九条の目を僕の目と合わさせる。
「九条、分かってるな。……もしお前が僕と西野さんに手を出したら」
僕は九条にそう告げると同時に記憶をいじり、九条の脳内にされたわけではないのに僕と西野さんに手を出したら今のようになるという認識を脳内に植え付けた。僕が九条に今まで引き起こさせてきた不幸については消去したうえ、僕への漠然とした恐怖に置き換えた。序に気がくるって僕たちに手を出したら、その瞬間に苦しみながら死に至る呪いをかけた。
九条は無言で僕の言葉に首を何度も縦に振る。思考解析をかけてみるがしっかりと呪いが効いているようだった。
「これで終わり!じゃあとっととこんな部屋から出ようか」
「うん。そうだね」
僕は最後に今まで僕のやった行為の証拠となりうる血痕などを消して九条の部屋から脱出した。
そして、西野さんを部屋まで送るとすべてを終えたという達成感に浸りながら今までの疲労を回復させるため、心地良い睡眠を貪った……。
———————————————
これで第一章完結です。(多分)
九条くん、今後の登場どうしますかね……。意見訊かせていただけるとありがたいです。
第二章でやっと未使用のタグが登場します。(といっても前面に押し出していく感じではないですが。)
星やハート、フォロー等押してもらえると嬉しいです。
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