第17話

 九条の心に残っているその悠乃に対する気がかりを僕は消しにいこうと思う。


 とはいっても九条から悠乃に関する記憶を消したりするわけではない。


 あくまでも九条にはあの辛酸?を今後も是非思い出してほしい。そして苦しんでほしい。


 だから僕は別の手を使う。僕は翌日からクラスメイトに噂をわざわざ九条の近くでも囁かせて孤独を深めさせた。


 そこで謎に余所余所しいクラスメイトの態度の理由を把握したらしく他の誰とも話せなくなったあいつは余計、加奈に構いだした。もう依存しきっているというか溺れているというか。


 うーん、そろそろ奪いだしてもいい気がする。


 ただ、その前にやっておきたいことがあった。


 それをすべく僕は授業が始まる前に九条に声をかけにいった。


「九条」

「!なっ、なんだ?」


 今まで僕自らが九条に話しかけることはなかったので何かされるとでも思ったのだろうか?思わず身構えていた。


 安心してほしい。つまらないからいきなりあの事件の暴露とかするつもりないから。ただただ、予告みたいなことするだけで。僕は九条の耳元で静かに囁く。


「どうだ?一時の偽物の至福は?まぁ、楽しんでくれよ。……あと数日くらいなんだけど」

「——っお前!」


 激昂して殴りかかってくるのをひょいっと躱し、自分の席にとっとと戻る。


 運良く担任が教室に入ってきたため、無理に九条も追ってこなかった。


 さーてと、あと何日楽しませてあげようかな。



 それから三日後の夜。もう十分だと判断した僕は行動を起こした。


 僕は以前と同じように自分に隠密ステルスをかけて加奈の部屋に転移テレポートした。


 するといきなり僕の目の前に九条と加奈が繋がって行為にふけっているのが写る。


「彗人———」

「ああ、加奈!イ」


 ここで僕は防衛本能により咄嗟に自分に防音サイレンサー目眩しブラインドの魔法をかけた。吐き気がする。


 とっととこんな空間から出たいので加奈に魔法をかけるだけ仕事を済ますと、まじでで破滅しろと願って部屋を出た。


 自分の部屋に戻ってもこの気持ち悪さを堪えきれずに吐いた。あいつらの嫌な臭いが付いている気がして二回シャワーを浴びた。



 翌日、僕は教室に早めに向かった。まだ九条たちは来ていないが西野さんはもう座っていた。


 西野さんは僕の顔を見ると不安げな顔になった。


「大丈夫?」

「えっ?何が?」

「いや、ちょっと顔色悪いから……」

「……」


 九条の苦しむ姿が見られるから嬉しくて仕方ないはずなのだが……。昨日のあれか……。原因としてはこれしか思い当たらなかった。


 ただ、まさか加奈の部屋に侵入して九条との情事を見てましたなんて口が裂けても言えないので曖昧に笑って誤魔化した。


 しばらくすると九条が先に教室に来た。幸せそうな顔をしていた。


 どうやら昨日のうちに加奈の部屋から帰ったようだった。


 まぁ、一緒に教室に来ようが後から来ようが魔法を発動させれば同じだ。


 あの経験が最後だったわけか……。


 そして五分後、加奈が教室に来た。僕は昨日かけておいた魔法を発動させた。


 すると、九条の方に向かおうとしていた加奈が僕の隣に座って抱きついてきた。昨日のあのシーンを思い出して振り払いたくなったのを必死に堪える。


「おはよう、天くん!いい天気だね!」


 教室が凍りついた。




———————————————


体調崩してました。その影響もあって文字数こなせません……。まだしんどいのでとりあえず寝ます。

それと毎日更新はあくまでも目指すなので……。全裸土下座

新学期から慣れて楽になるどころかリアルが忙しくなっているのは?

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