第3話 天使と皇太子殿下①

「クララ、今日パパと一緒に皇宮に行かないか?」

パパが突然聞いてきた。

「皇宮?王様がいる所?」

「そうだ。どうだ?」

「行く!」

わーい!初めてのお出かけだ!

「じゃあ準備してくるね!ばいばい!」

私はパパの膝から飛び降りて、ミアを呼びに行った。


ミアに着替えさせてもらった後、私はパパと馬車に乗り、皇宮へ向かった。

日本ではずっと病院のベッドの上だったから…

こんなに綺麗な服を着て、パパとお出かけできるなんて、夢みたい!

お外ってこんなに綺麗なんだ!


「クララ、おいで。」

皇宮に着くと、私はパパに抱っこされた。

今王様がいるお部屋に向かってるみたい。

「国の太陽、皇帝陛下にご挨拶申し上げます。」

「申し上げます!」

私はパパと同じ礼をした。

「久しぶりだな。それにしても、クララ嬢は本当に変わったな。なんて言うか、その…」

王様、どうしたんだろう。

「か、可愛い。」

「へ?」

王様の隣に立っているお兄さんが間抜けな声をあげる。

パパ!王様のこと睨んじゃダメよ!

「確かにですね。すごい印象が変わりました。」

さっき間抜けな声を出したお兄さんが頷く。

「クララ、パパは皇帝陛下と喋らなくちゃいけないから、外で待ってなさい。」

あ、忙しくなっちゃうのね!

「ぱ、パパだと?あのソアレン公爵が?」

なんで王様驚いてるの?ペン落としちゃってるじゃん!

私は落ちたペンを拾って、王様に渡した。

「王様!パパとのお仕事頑張ってね!」

「あ、ああ。」

あれ?王様照れてる?どうしたんだろう。

私は王様にお辞儀をして、部屋から出た。


クララが出て行った後の執務室…


「公爵、やはり公女を嫁ー」

「ダメです。」


公爵、娘取られないよう、ファイト!


戻って、クララ視点


暇だなあ。

扉の外で待っててもやることがない。

左を見て右をみると、小さなうさぎさんがこっちをじいっと見てることに気づいた。

あの子と遊ぼう!

うさぎへと走ると、うさぎは逃げてしまった。

「待って!」

追いかけよう!

うさぎのことを追いかけていると、私は知らない所へ来てしまった。

「ここ、どこ?」

迷子になっちゃったのかな?

パパがいない。道もわからない。

私は草むらに座り込んだ。

「パパ?にーに、お兄ちゃん。」

大丈夫。まだここは皇宮だから。

一人体育座りしていると、草むらからさっきのうさぎちゃんと、知らない男の子が出てきた。

あれ?男の子?

「大丈夫?」

男の子が声をかけてきた。

「うん。あの、迷子になっちゃって。」

この子なら、知ってるかも?

「連れてってあげる。君の名前は?」

「クララ。クララ ソアレン。」

私が自己紹介すると、男の子が驚いた顔をして少し近づいてきた。

「君が?あのクララ ソアレン?」

「うん!君は?」

私の名前、変だったかなあ。

まあ、ネガティブなこと考えても意味無いよね!

次はこの子の名前を教えてもらわなくちゃ!

「ーヒト。」

あれ?聞こえなかった。

「リヒト ヴィルシーナ。この国の皇太子だよ。」

え?

皇太子って、王子様?

「じゃあ、今日から友達だね!よろしく!」

「え、なんで?」

「だって、名前を教えたらもう友達!じゃあ、行こう!リヒト!」

「うん!」

私がにっこり笑うと、リヒトはにっこり笑い返してくれた。


そして、パパと無事再会した私は、来週リヒトを家に招くことにしたのでした!



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