第2話 再会
「おーい、ブッコロー❗ どこにいるの?」マニ君は 大きな声で、友達の名前を呼びました。子供の頃に遊んだ森は、相変わらず キラキラしていました。 風が木々を揺らして、太陽の光が 葉っぱの隙間からこぼれて来ます。 小石の下には、虫たちが隠れています。 子供だった時には とても大きくて深い森だと思っていましたが、大人になって 来て見ると 思っていたよりも小さな森のように感じました。もしかしたら、開発などで、本当に森が狭くなってしまったのかもしれません。それでも、森の中は、空気が、澄んでいて 小さな生き物たちの生命力に溢れていました。懐かしい土と草木の匂いに深呼吸をしてみます。 すると 少し強い風が サワサワと音を立てて吹いたかと思うと、バサバサっと 羽音がして、近くの木の枝に 一羽の鳥が飛んで来て とまりました。
「久しぶり、元気だった? ブッコロー」 マニ君は 高校生になりました。 今日は、幼い頃に遊んだ森に住んでいる 友達のブッコローに会いに来ています。 「元気も何も、先月も来たじゃないか。 今の高校生は そんなに 暇なのか? しかも 賑やかしまで連れて来てさぁ 」 口では、そう言いながら ブッコローも 嬉しそうです。 9年ほど前に一度は、マニ君の引っ越しで、離ればなれになった マニ君とブッコローでしたが、別れの時に約束した通りに 高校生になったマニ君は、あの森に ブッコローを訪ねて来たのです。 それからは、学校が、休みで用事がない時には こうして、ブッコローに会いに森に来ています。
「今日は 前に話していたボクの友達を連れて来たんだよ 」 マニ君は 今日、三人の友達を連れて来ていました。 一人は 小学校から一緒で 家も近所の幼なじみのひろちゃんです。彼女は マニ君の "話が出来る小さな生き物" の話を笑わずに聞いてくれ すぐに信じてくれた友達第一号です。家族以外でブッコローの事を話したのは彼女が最初でした。彼女は 大人しくて声も小さいけれど 学校で使う文房具が大好きで、色々な、楽しい文房具を持っています。 もうひとりは、まさよ姉さんと皆が呼んでいる 姉御肌の 頼りになる女の子です。 マニ君が "人間と話が出来る小さな生き物" の話をして 同級生にからかわれていた時に 助けてくれてから 仲良くなり、それからは、良く一緒に遊んでいます。彼女が マニ君と一緒にいるようになると いつの間にか からかってくる同級生はいなくなりました。 最後は 学級委員のいくさん。 しっかりもので 皆をまとめてくれる 才女です。彼女も、マニ君の"森の小さな友達"を 決して否定せずに マニ君が その友達について調べる時に 一緒に調べてくれました。そのおかげで マニ君は ブッコ ローが、 [ミミズク] と言う フクロウの仲間で、鳥類なのに 夜にも活動が出来る生き物だと言う事が わかりました。 マニ君が 耳だと思っていたものは、実は 羽角と呼ばれる 羽根飾りのようなものだとわかりました。 でも、ミミズクのブッコローが どうして 言葉を話せるのかは わかりませんでした。 ただ オウムや九官鳥など 人間の言葉を覚えて繰り返し まさに会話のように話せる鳥類もいるので そんなに珍しくないのかもしれないと言う結論になりました。 そんな 三人は マニ君の森の友達に合ってみたい、と言う事で 森に一緒に来たのです。
三人は マニ君とブッコローの 話しに 興味津々です。早く 自分達も 話をしてみたくて ウズウズしています。 マニ君は ブッコローに三人を 紹介します。「ブッコロー、ボクの仲間の ひろちゃんとまさよ姉さんと委員長…じゃなくて いくさんだよ 。みんな、彼が 森の友達のブッコローだよ。」「こんにちは」「よろしくねー」「はじめまして、私たちはマニ君の同級生です。 マニ君から 良くお話しを聞いていて お会いして見たかったので みんなで押し掛けて来てしまいました。」三人は ブッコローにそれぞれ挨拶をしました。ブッコローも なんだか嬉しそうです。「いや~ こちらこそ。よろしく。 マニ君にお友達がたくさんいて 安心したよ。しかも JKが3人も🎵 」なんて 言っています。 なんだか 女子高生に囲まれて デレデレして見えます。 「私たちも ブッコローって呼んでも 良いですか?」「その 羽根で持っているのが マニ君があげた本📖なの?」三人は 次々に 質問をします。 ブッコローも 楽しそうに話をしていて マニ君は安心しました。
こうして マニ君とゆかいな仲間達と森の知恵者ブッコローとの交流が、再び始まりました。 今度こそ ブッコローのお勧めの夜の森に来て みんなで 過ごしてみたいな、とマニ君は 密かに楽しみにしています。 会えなかった9年の時間を埋めるようにたくさん話をして 再会を喜びました。 少しだけ 大人になった マニ君とブッコローの物語は 2人が再会をして、めでたしめでたしで 終わりますが、二人の友情は この先の未来に 続いて行きます。 きっと そこには、沢山の仲間たちも 一緒にいることでしょう。 森には、嵐だって来るでしょう。 でも、目の前には、新しい世界が広がっています。
おしまい
森の不思議な生き物ZUKAN 実は知恵者でした @halu-ba
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