森の不思議な生き物ZUKAN 実は知恵者でした

@halu-ba

第1話   出会い

  ある森の近くの赤い屋根の家に お父さんとお母さんと 男の子が住んでいました。その男の子の名前はマニ君。 マニ君は森で遊ぶのが大好き。毎日 お気に入りの恐竜図鑑を持って森に行っては生き物や植物を見つけて 図鑑と比べてみたり、石を拾って化石を探してみたりしていました。 そんなある日 マニ君は森で 不思議な生き物を見つけました。その生き物は 森の木の枝の上にいました。その小さな生き物は ぱやぱやした産毛のようなもので膨らんだお腹と小さな耳もありました。 マニ君は その小さな生き物が逃げないように ちょっと離れた場所から観察しました。 木の葉に隠れてその小さな生き物は良く見えませんでした。 子猫かな? 子ダヌキかな?高い所に登って降りられなくなったのかな?マニ君は 少しづつ近ずいていきました。 近付いて見るとその小さな生き物は 羽根のようなものと小さな耳があり、右の眼の色と左の眼の色が違う事がわかりました。 オッドアイって 白い猫に多いって聞いたことがある。でも その小さな生き物は 白くはありませんでした。 羽根のようなものがあるけど 鳥じゃないよね。だって 鳥には耳が無いけど あの生き物には、頭に小さな耳があります。 マニ君は 夢中になるあまりに 自分では気がつかないうちに その小さな生き物の直ぐ近くまで来ていました。 

  「ねぇ 君は だれ?」木の枝にとまっている 小さな生き物が 突然声を掛けてきました。「わぁ❗君 しゃべれるの?」 マニ君はびっくりしてしまいました。「あぁ 当たり前だよ。 ところで 君が持っているのはなぁに?」その小さな生き物は マニ君が 手に抱えている本📖を見て言いました。「これはね 本だよ。恐竜の色々な事が書いてあるんだよ 君も見る?」それから マニ君と小さな生き物は 一緒に本をみたり 恐竜がどんなにすごいか どうして 今はいなくなってしまったのかを たくさんお話ししました。 マニ君と小さな生き物は その日から 毎日 森で遊ぶようになりました。マニ君が持って来る色々な本を一緒に見たり 小さな生き物が見つけておいた 秘密の場所に行っては虫や 花や 木の実等を見て 過ごしました。  

  そんなある日 小さな生き物がマニ君に聞きました。「君は 明るい時にしか森に来ないけど 夜はどうしているの?」 マニ君は 驚いてこう言いました。「えぇ? 君は知らないの? あのね 子供は夜はお家で眠るんだよ 」小さな生き物は首をキュッと傾げて「それは残念だなぁ 明るい時の森は楽しいけど、夜の森は 明るい時と違って とてもキレイなんだよ。君にも 見せたいなぁ。」そう言われると マニ君は 夜の森をどうしても見てみたくなりました。でも、マニ君のお父さんとお母さんは、夜の森は危ないから 行っては行けません、と言います。 もっと大きくなったら 行っても良いと言います。 マニ君は がっかりしました。 それでも諦めきれないマニ君は、森の小さな生き物に聞きました。 「君は、鳥みたいに羽根があるのに 夜に目が見えるの? やっぱり耳があるから動物なの? 鳥は夜には目が見えなくなるってお父さんが言ってたよ 」 マニ君は 夜の森を探検したくて その小さな生き物に色々聞いて見ました。 でも その小さな生き物も 自分の事がよくわかっていないみたいでした。 「ぼくは 明るい時も 暗くなっても ちゃんと見えるのさ、でも、まだまだ 修行中なんだ。いつかこの森で一番の"知恵者"って言われるようにならないと一人前じゃないんだってさ 」マニ君と小さな生き物は 自分達がまだまだ 子供で 知らない事が沢山あることがわかりました。 

  そして 季節が変わり マニ君は お父さんとお母さんと 森の近くの家から引っ越して、学校のある街に行く事になりました。そこは 森からは 遠く離れていました。 「僕は 大きくなったら、必ずこの森に帰って来るからね。 その時には 夜の森を案内してね 」マニ君は 泣きそうになりながら、小さな生き物に言いました。 小さな生き物は 少し長くなった羽根をパタパタしながら マニ君の直ぐ側まで 降りて来ました。「約束する。 君が帰って来るまでに必ずこの森の一番の"知恵者"になって この森のすみからすみまで 案内するよ 」「じゃあ 約束の印しにこの本をあげる」マニ君は大事にしていた 緑色の表紙の本を渡しました。 小さな生き物は その本を受け取ると その重さにコロンと 転んでしまいました。泣きそうになっていたマニ君は 笑いながら 「あのね ある国では本のことを ブックって言うんだよ。ブックを持ってコロンって転がったから、君のことをブッコローって呼ぶね🎵」 小さな生き物は 初めて自分に名前をくれたマニ君が大好きでした。「ありがとう 本も名前も とても嬉しいよ。大切にするからね。」「僕のことを忘れないでね。」サヨナラ またね👋 こうして マニ君とブッコローは 少し 大人になるための 別れの寂しさを知りました。 大人になった マニ君とブッコローが 再び出会うのは、また、別なお話しで…   

                   おしまい

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