AIシエスタは欠陥品である。
あとら
Prologue
2117年、1月13日。
とある日本の病院で、元気な女の子が産まれた。
彼女の名前はシエスタ。
5歳で「神童」と呼ばれ、10歳を過ぎると政府すら彼女に媚び諂うようになった。
まさに全知全能の神。私の目には彼女がとても恐ろしく見えた。
しかし、彼女は25歳という若さで息を引き取った。
政府はシエスタの遺体を保管し、全世界から優秀な科学者らを集めて、彼女を複製させる計画を立てた。
複製自体には成功したが、そこには彼女の「意思」が宿る。
一人の人間としての意思。
政府は好ましく思わなかった。
敵対した場合のリスクが高いからだ。
そのため政府は私たち研究チームにこう命じた。
「シエスタに感情を持たせず、シエスタの複製をしろ」
そこで私が提案したのが「AIシエスタ」だった。
AIシエスタの開発には少々時間がかかったが、成功した。
そして、大手企業と結託し、AIシエスタが家庭で使えるようにするため、開発を行った。
シエスタの本来の知能よりは少し落としつつ、彼女の脳にプログラムを埋め込んで、色々な用途で使えるよう「感情導入」というシステムも入れた。
少し面白みを出すために、AIシエスタの心を育て上げられるようにもした。
そして、提案者である私は、3年かけて初代AIシエスタのテストを行った。
AIシエスタは欠陥品である。 あとら @ayatokuatoraaya
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