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2023年12月3日 10:04 編集済
昨日、早い段階で読んではいたんですけれど…何度読み返しても息が詰まりますね。カウティスとセルフィーネ、双方に違う形での辛さがあって、涙腺が弱い私には結構な試練です。冒頭、普段なら心を和ませるはずの花の色や柔らかい風に苛立つカウティスの描写、秀逸ですし凄く良く分かります。発散しようのない苛立ちを抱える時というのはこうしたものですし、ラードが立礼で見送る様も加わって、そのやり場のない怒りの度合いが窺い知れますね。わずかに反応があったお陰で彼女の無事こそ知れましたが、それで良いとは当然ならないわけで…カウティスのもどかしい胸の内を思うと、辛くてならないです。しかし、ここにも隠れうむむです。フルデルデとかわした協約の改定が、ここにきて裏目に出てしまうというのが上手いんです。あの時は手放しによろこんでいたものの、それがいざザクバラからセルフィーネが戻ってこない時に、かの国に詰め寄り切れない足枷になってしまう…ちょっとした要素のひとつですが、本当に巧みと言わざるを得ません。エルノートに止められ、自ら乗り込む事も出来ず…この今現在抑え込んでいる負の感情が、いつかどこかで詛に結び付いてしまうのは目に見えて明らかなだけに、ただ待つ事しか出来ない彼が不憫でならないです。対して、半実体化してしまったセルフィーネですが…多くの衝撃が積み重なってしまった末、自我を失ってしまったのでしょうか…。これまで見た事のない彼女のこの悲痛な姿に少なくない衝撃を受けたのですが、それでも「王弟」と耳にして反応するところが悲壮過ぎます。くわえて、傷の様なただれが非常に気になりますね…彼女は精霊ですから、人間からの行為では本来傷つかないはずです。これは勝手な考察なのですが、純粋であるが故に、暴力に込められた悪意を感じ取ってしまった結果が、この傷に似た症状なんじゃないでしょうか。だとすると、無理矢理魔力を回復させたところで、やはり今、色を失って広がる魔力も然り、セルフィーネ本人が悪意によって穢されてしまえば、その力も衰えてしまう気もしますね。リィドウォルが望む形になどなり得ない気がするのですが、それこそ自業自得だと思う私と、その場合セルフィーネの処遇は…とハラハラする私と、更に「まだまだ苦しむんだなぁ、リィドウォル…」と肩を落とす私もいて、非道まる様(ひどまるさま、と読みます笑)のお陰で、情緒が大変な事態です。リィドウォルにしたら、遂に、念願の…といったところでしょうけれど、力づくで詛を解かせるなどという荒業は本当に可能なんでしょうか。物の様にしか思われていないセルフィーネがとにかく辛そうで…いや、今はただ、どんなに辛くても、カウティスを思い出して貰いたい一心です。彼女にとって、それ以上の希望の光はないはずですから。
作者からの返信
続けて読んで下さってありがとうございます。コメントも嬉しいです。主人公二人、別の場所で、どちらも辛い状況です。行き場のない苛立ちや不安を抱えている時、周りの何もかもが心を逆撫でするような気がして、カウティスのこの場面を書きました。先の二国の協約改定は、ここに影響してきました。以前にも触れて下さいましたが、良かれと思って行ったことが、後になって別の影響を及ぼす…ということは実際多いと思います。『純粋であるが故に、暴力に込められた悪意を感じ…』仰る通りです。セルフィーネの心は“悪意”というものに慣れておらず、自我を失ってはいませんが、防御反応で閉じてしまいました。こうなった水の精霊を、リィドウォルはどうするのか…。非道まるはひどまると読む…って、字数を合わせてくれればいいってものじゃありませんよっ!(笑)一人きりのセルフィーネは、カウティスを思い出し、立ち直れるのか…。待居様の情緒も大変そうですが(すみません)、引き続きお楽しみ頂ければ幸いです。ありがとうございました!
編集済
昨日、早い段階で読んではいたんですけれど…何度読み返しても息が詰まりますね。カウティスとセルフィーネ、双方に違う形での辛さがあって、涙腺が弱い私には結構な試練です。
冒頭、普段なら心を和ませるはずの花の色や柔らかい風に苛立つカウティスの描写、秀逸ですし凄く良く分かります。発散しようのない苛立ちを抱える時というのはこうしたものですし、ラードが立礼で見送る様も加わって、そのやり場のない怒りの度合いが窺い知れますね。わずかに反応があったお陰で彼女の無事こそ知れましたが、それで良いとは当然ならないわけで…カウティスのもどかしい胸の内を思うと、辛くてならないです。
しかし、ここにも隠れうむむです。フルデルデとかわした協約の改定が、ここにきて裏目に出てしまうというのが上手いんです。あの時は手放しによろこんでいたものの、それがいざザクバラからセルフィーネが戻ってこない時に、かの国に詰め寄り切れない足枷になってしまう…ちょっとした要素のひとつですが、本当に巧みと言わざるを得ません。
エルノートに止められ、自ら乗り込む事も出来ず…この今現在抑え込んでいる負の感情が、いつかどこかで詛に結び付いてしまうのは目に見えて明らかなだけに、ただ待つ事しか出来ない彼が不憫でならないです。
対して、半実体化してしまったセルフィーネですが…多くの衝撃が積み重なってしまった末、自我を失ってしまったのでしょうか…。これまで見た事のない彼女のこの悲痛な姿に少なくない衝撃を受けたのですが、それでも「王弟」と耳にして反応するところが悲壮過ぎます。くわえて、傷の様なただれが非常に気になりますね…彼女は精霊ですから、人間からの行為では本来傷つかないはずです。これは勝手な考察なのですが、純粋であるが故に、暴力に込められた悪意を感じ取ってしまった結果が、この傷に似た症状なんじゃないでしょうか。
だとすると、無理矢理魔力を回復させたところで、やはり今、色を失って広がる魔力も然り、セルフィーネ本人が悪意によって穢されてしまえば、その力も衰えてしまう気もしますね。リィドウォルが望む形になどなり得ない気がするのですが、それこそ自業自得だと思う私と、その場合セルフィーネの処遇は…とハラハラする私と、更に「まだまだ苦しむんだなぁ、リィドウォル…」と肩を落とす私もいて、非道まる様(ひどまるさま、と読みます笑)のお陰で、情緒が大変な事態です。
リィドウォルにしたら、遂に、念願の…といったところでしょうけれど、力づくで詛を解かせるなどという荒業は本当に可能なんでしょうか。物の様にしか思われていないセルフィーネがとにかく辛そうで…いや、今はただ、どんなに辛くても、カウティスを思い出して貰いたい一心です。彼女にとって、それ以上の希望の光はないはずですから。
作者からの返信
続けて読んで下さってありがとうございます。コメントも嬉しいです。
主人公二人、別の場所で、どちらも辛い状況です。
行き場のない苛立ちや不安を抱えている時、周りの何もかもが心を逆撫でするような気がして、カウティスのこの場面を書きました。
先の二国の協約改定は、ここに影響してきました。以前にも触れて下さいましたが、良かれと思って行ったことが、後になって別の影響を及ぼす…ということは実際多いと思います。
『純粋であるが故に、暴力に込められた悪意を感じ…』
仰る通りです。
セルフィーネの心は“悪意”というものに慣れておらず、自我を失ってはいませんが、防御反応で閉じてしまいました。
こうなった水の精霊を、リィドウォルはどうするのか…。
非道まるはひどまると読む…って、字数を合わせてくれればいいってものじゃありませんよっ!(笑)
一人きりのセルフィーネは、カウティスを思い出し、立ち直れるのか…。
待居様の情緒も大変そうですが(すみません)、引き続きお楽しみ頂ければ幸いです。
ありがとうございました!