なんて言うんでしょう…大きく動くエピソードではなかったんですけど、静かにひたひたと、色々な意味で泣けましたね…ずっと涙ぐんで読んでしまいました。
遂にネイクーン王が現役を退く事になったんだなぁ…と、まずはとにかく感慨深いです。有り体に言ってしまえば、物語の登場人物の一人でしかないはずなんですが、これまでの多くの場面が不思議とよぎって、長く知っていた王の退位を見ている様な気にさせられました。
思えば、ネイクーンを護り続けてきたセルフィーネの働きを誰よりも一番ありがたく思っていたのは、施政者である彼なんですよね。物語が進むにつれ、彼女の良き理解者へとなっていく様は本当に頼もしかったです。
二人だけの最後の会話も、決して多くない彼の口数からは、セルフィーネを思うがあまりの憂慮が滲んでしまっていて、その優しさに胸を打たれました。嘘のつけないセルフィーネからの感謝は、これまで彼女に対して心を砕いてきた王への、ひとつの誇らしい結果に思えました。
そして…本筋(というとおかしな感じもしますが)の展開では、マルクが驚愕の発明!魔術符を用いてセルフィーネを以前の様に可視化にもっていく…という発想には、カウティス以上に私が驚きました。以前のミルガンの発言にもあった様に、優秀だという事は分かっていましたが、まさかこれほどまでとは…いつの間にか、本当に頼れる存在になったものです。
ですが、返事もままならないほどにセルフィーネは衰弱して戻り…「あぁ…やっぱり…」と思う反面、ザクバラでどれほど酷い目に遭っていたかという詳細な描写がない事だけが救いでした。ふた月に一度、これが繰り返されるかと思うと、本当に先が思いやられてしまいます。
消耗しきった彼女に対し、少しでも楽にしてあげたい、見えずとも笑って欲しい…と口にし、迷わず魔術符を回復に充てたカウティスに、素直に感動しました。以前の彼なら、どうしても自分の思いに囚われてしまい、ひと目姿を見たい…と視野が狭くなり、こうはいかかったはずです。時間の経過と共にきちんと少しずつ成長し、相手を思いやれる人間になっていく…その過程を目に出来る事が嬉しいですし、心に響きますね。
ネイクーンに戻ったセルフィーネがどれほど回復するのか…ちょっと現状では見えてきませんが、どうかその間だけはほっこり、若しくは甘々な展開を宜しくお願いしたい所存です。
作者からの返信
続けて読んで下さってありがとうございます。コメントも嬉しいです。
三国共有が始まって、ひと月。
三国を一巡してセルフィーネが戻ってきました。
王とセルフィーネ、二人だけの最期の時間でした。
物語の進行にどうしても必要な場面ではなかったのですが、時代の大きな変化を背負ってきた王の最後の気持ちを入れたくて書きました。
これ以後、王が登場して言葉を発する場面はありません。
マルクは、クイードが残した魔術理論を一番理解している者だと評価されていますが、平民出のため、今までは目立ったことをしてきませんでした。
今は、明確な目標を持って努力し始めてます。
確かに、以前のカウティスなら自分の気持ちが先に立ってしまったかもしれません。彼の成長を嬉しいと言って頂けて、私も嬉しいです。
ありがとうございます。
ふた月目に入り、次にフルデルデ王国へ向かうまで二週間(十日)です。
その間、セルフィーネがネイクーンでどう過ごすのか、お見守り頂けたらと思います。
もちろん甘々も!(笑)
ありがとうございました!
うおーん……(T_T)
カウティス、セルフィーネ……。
カウティスの愛が染み渡ります。
王とセルフィーネの会話も、絆を感じさせて、とても良かったです。
作者からの返信
続けて読んで下さってありがとうございます。
ネイクーンへ帰り、ようやく一息のセルフィーネですが、その消耗は激しく…。
『カウティスの愛が染み渡ります』
ありがとうございます。
ネイクーンにいる二週間(十日)、カウティスの想いで支えてほしいです。
最終話までで、王が直接言葉を発するのはここが最後でした。
セルフィーネへの気持ちが出せたかと思います。
良かったと言って頂けて嬉しいです。
コメント頂けて嬉しいです。
ありがとうございました!