新章が始まってから、何度となく幸まる様が「ザクバラはホラーだ」と仰っていたんですけど、ちょっと失礼なのかもしれませんけど…正直、「…そうかなぁ?」と思っていました。怖いは怖いんですけど、そう言った感じとは少し違う気もしていたんです。
…そう思っていた私の認識が甘かったです。これはもう立派なホラーでした。
どうやら懇意そうな魔術師長の登場に、リィドウォルにも友人がいたんだな…と、少し失礼な事を思ったりもした直後、「他とは違うという事を教えておかねばならないな」の一言に戦慄です。
少なくとも真っ当な人間が口にする発言じゃありません。やはりザクバラを救う為には手段を選ばないんですね。正しく思えて正しくない…そんな彼の思想の魅力が詰まった一言だと思います。
いち家臣の心ですらこの荒れようですから、この空気に包まれたザクバラにいるだけでセルフィーネが戻りたくなるのも頷けます。ですが、これまでは月の光で遜色なく回復出来ていたのに、消耗が上回るほどまでとは思っていませんでした。身体的な(という表現で合っているのか分かりませんが)消耗も心配なのですが、セルフィーネの心が蝕まれてしまわないか、凄く心配です。
その救いを求める様が魔術師たちに見えてしまうほど追い詰められてしまっても、カウティスには現状何も出来ないところが、本当に歯がゆくて切ないですね…流石に夜の川に踏み入るのはラードがしっかり止めてくれましたが、愛する存在が恐らくは辛い目に遭わされているのにどうしようもない…その無力さ、想像するに余りあります。
更に重ねてセルフィーネをおびやかすリィドウォルですが、休戦破棄をちらつかせ、知っているぞとばかりに敢えて名を呼ぶそのやり口が、これでもかとばかりに陰険でいやらしく、…しかも凄まじく効果的なのを分かった上での、これは立派な脅迫でした。挙げ句水盆から直接精霊のセルフィーネに働きかけるだなんて、ホラー以外の何者でもありません。冗談抜きで鳥肌が立ちました。
こうまでして果たしたい宿願がリィドウォルにあるのも分かっているのですが、…もう少し、譲歩や交渉といった手はないものなんでしょうか。これまで通りの尖ったやり方しかないわけではない事に、どこかしらで気付いて欲しいです。
いやぁ、このエピソードも実にしんどい…のですが、この胸が詰まる苦しさこそ、幸まる様の真骨頂のひとつですよね。辛いんですけど、目が離せないんです。明日も覚悟して読み進めます。
作者からの返信
続けて読んで下さってありがとうございます。コメントも嬉しいです。
ザクバラ国はホラー。
これは私が最終までザクバラ国を書いていて染み込んだ感覚だったので、共感して頂かなくても大丈夫だったのですが、この一話でホラーだと感じで頂けたようで嬉しいです。
ザクバラの中央へ戻り、王との間にあった者達を排除したリィドウォルは、その煮詰まった忠心で本領発揮です。
ネイクーンと他国での精霊への感覚は大きく違います。
ネイクーンの水の精霊は特別。リィドウォルにそういう認識はあっても、やはり精霊は精霊。
従わせて「使う」ものです。
しかしその対応が、セルフィーネに対しては誤りであると彼は気付けるでしょうか。
一人耐えるしかないセルフィーネと、彼女を前にしても何も出来ないカウティス。
苦しい時です。
その胸の詰まる感じを真骨頂と言って頂けるのは、有り難い限りです。
次話は、月が変わってネイクーンへ戻ります。
続けてお楽しみ頂ければ幸いです。
ありがとうございました!
こんにちは。
セルフィーネ、可哀想……(´;ω;`)
心は、カウティスのものでありたいよね。
心は、セルフィーネの自由で良いんだよ。そう言ってあげたいよ。うおーん……。(T_T)
作者からの返信
こんにちは!
続けて読んで下さってありがとうございます。
誰も手助けできず、ただ一人で耐えるしかないセルフィーネです。
心だけは…。
それすらも絡め取られそうになるザクバラ国。
消耗してネイクーンへ帰ります。
コメント嬉しいです。
ありがとうございました!