第9話 古代中国では……

当時、その石が隕石かどうかを知る術はない。

 861年5月19日、福岡県直方市に武徳神社の境内に何かが落下した。神社の石碑に、その様子が記されていた。天から飛来した石と称していた。

 それが、何であるかがはっきり解明できたのは、国立博物館の協力を得た、1981年のことである。

 当時の物質に対する考え方は、古代ギリシャの思想に始まり、錬金術を経て、17世紀にようやく「科学革命」が訪れる。故に、その石の存在は、木内石亭が伝えるように「奇石」でしかないのだ。

 中国最古の医学書「黄帝内経」が存在する。当時、現代のような機械が存在しないため、その代わりの思想が発展した。病気とは、身体、心、環境など様々に関連している。症状1点を見るのではなく、全体を通してみるのが、「黄帝内経」の考え方だ。作られたのは、前漢末と言われている。

 その中に、石を使った療法が登場する。石に含まれる微量元素が人間の体の中で巡る気、血流をより良い状態へと促すのだろう。それ以外にも、あの不思議な力のある石が存在していたのが書かれている。しかし、あまりにも強力であり、治療に向かないと記されていた。

 かつて、扁鵲という伝説的な医師が存在した。山東省を中心に活躍されていた人物である。

 2018年に扁鵲の存在が立証され、2012年に出土された医学竹簡は、扁鵲のものとされた。それに記されていたものは、一体何なのだろうか。

 扁鵲は、脈診をする医者である。数多くの人々を治療してきた。そして、少し人の能力の範囲を超えた逸話が語り継がれている。

 それは、一体の何の力なのだろうか。

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MADOKA -Core- 早坂 実 @sym1

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