幼少期の私

 私は四姉妹の三女で、血液型が一人だけ違う事もあり、当時から自分は一人だけ

他の姉妹とは何か違うなと感じていました。

当時はその理由が何なのか、はっきりとは分からず、今となっては出会った本の

おかげでなんとなく理解する事ができたような気がしています。



 幼少期の出来事を例としてあげてみると、家族で外食をする事になった日の事、

焼肉にするかお寿司にするか家族内で多数決を取ることになりました。

私以外の3人はいつも同じで、私だけがいつも違う。

子供らしく自分の食べたい方に手を挙げる3人と、両親の顔色をうかがい、

両親が食べたそうにしている方に手を挙げる私。



 家族旅行の時だってそうだった。

素直に行きたい方に手を挙げる3人と両親が行きたそうな方に手を挙げる私。

3人が挙げた方に決まると、私はいつも申し訳ない気持ちでいっぱいだった。



 私がいくら考えて行動しても、私一人の力ではどうする事も出来ない。

そう考えるうちに私は、お風呂の中で鏡に映る自分を見て

「この人は誰なんだろう?」と問いかける時間が増えていった。

毎日毎日、問いかけ続けているとそのうち本当に「私は誰なんだろう」と

不思議な感覚になっていたのをよく覚えています。



 自分は何の為に生まれてきたのか、私の使命は何なのか、当時の私は一人で

よく考えていました。

その時の私はそんな事を考える自分はおかしいと、次第に自分で自分を

否定することも増えていきました。



もともと幼い頃から人前では引っ込み思案ではありましたが、気の知れた友人や

家族の前ではそれなりに過ごしていたように思います。

しかし今となって考えてみると、私は私の前でしか本当の自分では

いられていなかったと感じるようになりました。



 家族から見た私という人物像、友達から見た私という人物像にとらわれ、

私はいつも、私の目の前にいる人が思う私という人間を演じていたんだなと

思い知らされました。

なので八方美人だと友人から言われた事もありました。



 嘘が嫌いな私は、思った事を思ったまま発言する事の何がいけないのだろうと

考えていましたが、今となってはありのままで接する事が出来ていなかった

自分は、私が嫌いだという嘘つきな人間だと思うようになりました。





この事に気づくまでに33年間という月日がかかりました。





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HSPの私とHSCの娘 @Cocco17

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