再び痴女先輩の教室へ

「ファンクラブ?」


 反応から見るに、痴女先輩も初耳なのだろう。


「ええ、HRの前あたりにその一員らしいのがうちの教室にやって来たんですよ。その後の放課にも来てたみたいで」


 一度話をしないと何度でも来そうなので、立ち会って欲しいと僕は包み隠さず痴女先輩にぶっちゃけた。


「わかった。私にファンクラブが存在したというのは初耳だが、聞いてしまうとどういう団体なのかも気になる。幸い今日は教室を移動するような授業は午後からしかないしな」

「ありがとうございます」


 僕は素直に礼を言って頭を下げる。ただでさえ痴女先輩が完全体になったことで学校中騒ぎになっているのだ。先輩の本性を知らなければファンクラブができること自体は頷けるが、かかわりあっている余裕はない。


「礼には及ばぬよ。ただ、一点不安があるとしたら……ブラウスのボタンが耐つかだが」

「やめてください、フラグにしかならないじゃないですか」


 もう、これは痴女先輩が僕の教室に来て帰るまでのどこかで今は何とか持ちこたえてる痴女先輩のブラウスのボタンがお亡くなりになる未来しか見えない。


「何、裁縫道具は取りに行ける。飛んだとしてもつけ直せば問題はないよ」

「つけ直すまでに何かありそうだから言ってるんですけどね」


 容易に想像できて状況が悪化しそうなのは、ボタンが飛んで痴女先輩のおっぱいがポロリと零れ出ることだが。


「流石にそこまでベタな展開はないよ。私も気を付けておく」

「だといいんですけどね」


 何故だか僕は不安がぬぐえないまま時間は過ぎて、放課が終わる前に僕は自分の教室に戻ることになるのだった。

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