HRすら待ってくれず
「竹之内! おっぱいを生徒会長の疑いで聞かせて話を貰う!」
教室について鞄の中身を机へ移していた時だったと思う、教室の戸が勢いよく開いたのは。
僕はこの学校ではアンタッチャブルな扱いだと思っていたのだけれど、完全体痴女先輩の衝撃はそんなことすら吹き飛ばす程だったということか。
「……日本語でどうぞ」
だが、日本語がバグっている相手とまともな会話が成立するとも思えない。その一言を残して開いた戸のほうはもうスルーすると僕は鞄の中身を机の中に映す作業を再開するも、感じるのは遠慮ない視線と周囲のざわめき。きっとさっきのバグった日本語によって僕もしくは痴女先輩に何かあったとまだ現時点では何も知らなかったクラスメイトが察したんだろう。
「だああっ、無視してんじゃねぇぇっ!」
ただ、クラスメイトより無遠慮で日本語がおかしかった輩が我に返ったとか唐突に喚きだし。
「おい、たべっっ?!」
教室に入ってこようとしたそいつは、戸を動かす為のガイドである出っ張りに足を引っかけてすっ転んだ。
「甲丸レールって言うんだっけ、あのかまぼこ型の出っ張り」
僕が記憶する限り、内の教室のそれは余程他のことに気を取られていなければ、脚を取られることはない低さの筈だと思う。
「ぐっ、うぐぐ、おい、無視するなと」
「そもそも竹之内ならまだ来てないけど?」
「「えっ」」
声がいくつか重なったのはクラスメイトのモノも含んでいたからだろう。
「そっ、そういうことは先に言え! ……また来る」
僕の言い分を素直に信じた名も知らぬ生徒はくるり体の向きを変えると教室を出て行った。
「……ええと、竹ノ内くん?」
「いや、名乗らないし僕の顔も知らないようなのにまともに付き合うのもね」
ためらいがちにクラスメイトの一人が声をかけてきたので、僕は肩を竦めて嘘をついた理由を明かす。完全体痴女先輩と僕は今日は一緒に登校している。それを目撃して問い詰めに来たならあの嘘であっさり騙されるはずもない。なら、さっきのは僕と痴女先輩のことをまた聞きしたか完全体の痴女先輩だけをどこかで見た生徒のどちらかだろう。日本語がおかしかったのもあるが、そんなのにまともに付き合うのも何かしゃくに触って。
「じゃあ、俺らならいいのか?」
「まぁ、誰がしらかは尋ねに来るとは思ってたし、先輩ともちょっと話はしたからね」
事情を知るのが僕だけでなくなれば僕の元に突撃してくる妙なのも減るだろうと思い、僕は疑問に答えることにしたのだが。
「「『豊胸の実』っ?!」」
クラスメイトの声は件のアイテムに話が及んだところで重なった。
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隠す必要もないしとクラスメイトに実のことをバラした竹痴君。
尚、一限目の後の放課はさっきのめんどくさいのと鉢合わせにならないよう教室を出る予定とか。
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