テンプレ的なバカップルといふもの
「ダァァァァリィィィン!」
広げた両腕の中に破滅級に大きくやわらかなモノが弾んで近づいてくる。おっぱい、いや、痴女先輩だ。
「やっと会えたよぉ。もう、学年が違うと放課とかしか一緒に入れないんだモン。寂しかった」
「ははは、そう拗ねるなよ、ハニー。それで、この放課はどうする?」
「えー? そんなの決まってるよぉ……おっぱい揉む!!」
原型とどめてねぇじゃねぇか。自分の想像へ罵声を飛ばしはしたが、あまりのお粗末さに眩暈がする。
公衆の面前で痴女先輩とイチャイチャすることに抵抗を感じた結果、出来上がった脳内イメージはもう、外見とおっぱい関係以外は完全に別ものだった、言葉を交わす自分を含めて。
「あー」
必死になって火消するわけにもいかないとなると、インパクトのある別の情報で件のデマを吹き飛ばしてしまうというところは間違っていないと思う。
ただ、そのインパクトに満ちた僕と先輩のイチャイチャシーンと言うのが曲者だったのだ。
僕の顔もまともに見れない今の痴女先輩にイチャイチャシーンを考案してくれなんて許容量を超えてしまうような要求は流石に先輩が痴女で変態でも致しかねた。
なら、僕が考えるしかないと空想の翼を羽ばたかせた結果の惨敗がガワとおっぱい以外別人がバカップルしてる光景だ。
こう、あれを目撃した生徒は一周回って今日起こったことは全部夢なんじゃないかと錯覚してしまいそうで実はアリなんじゃとか脳内のどこかで思った自分をとりあえずグーで殴っておく。
「駄目だ」
自分でもまだ動揺してるんだろう。飛んだ役立たずになってる気がする。
「こういう時助言してもらえる第三者が居ればいいんだけれど」
原作の取り巻き連中には近づいていない今の僕に秘密を明かして相談できる友人は存在しない。居ればとっくに相談に乗ってもらっている。
「……なんで」
秘密が漏れない為に交友関係も控えめだというのに聞かれたくない独り言に限って拾われてしまうのだろうか。
「はぁ」
結局のところ相談できそうなのは痴女先輩ぐらいで、先輩と落ち合えるであろう昼の放課を待ちながら、僕は黒板に教師の書いた内容をノートへと写してゆくのだった。
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うむむ、いかん。寝不足でうまく話がまとまらない。
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