逮捕?
「失礼、面会中でしたか」
病室のドアが開いて、入ってきた男性が僕と先輩を見て軽く頭を下げた。
「え、あ、いえ」
そう、見知らぬ男性。これが白衣を着ていれば、医者だとかで納得できたのだが、僕の疑問を察したかのように、その男性はポケットを漁り、見せたものがある。
「け、警察?!」
警察手帳、それはこの世界でも存在するし、警察と言う組織も健在だ。手帳の仕様は前世のものといくらか変わっているが、気にすべきはそこじゃない。
「先輩?」
まさか、変態過ぎてとうとう警察のお世話になる時が来てしまったのだろうか。
「いや、私が話を聞きたいのは君になんだが」
「えっ」
その男性に頭を振られて僕は面を食らい。
「君、街中で魔法を使ったそうだが」
「あっ」
男性に言われて、やらかしてたことを思い出す。そう、ダンジョン外で許可なく魔法を使うのは違法なのだ。自分でも血の気が引くのがわかった。
「魔法は危険だから規制が凄いんだよ……」
そう独り言を口にしたのは何時のことだったか。まず魔法は使用するのに年齢で制限されてる。ダンジョン探索者を養成する科が高校からである理由の一つがそれだ。
つまり僕は魔法使用が許可される年齢以下で魔法を使ったってことになる。
「訓練所などの許可された場所以外での魔法の使用が違法なのは知っているね?」
「……はい」
男性から投げられた問いに、僕はとぼけることなく頷く。父のツテでダンジョン産のアイテムを手に入れたりしてるどころか魔法まで使えてしまう僕がそれを知らないというのはあり得ない。魔法の教本にはこの手の法律に関しては念入りに記載があるし、教本を見てないならどこで魔法を会得したんだってことになるからだ。
世の中にはいい年をして一般常識すら把握してない人間も居たりするが、とぼけたところですぐばれる嘘でしかない以上、正直に頷くしかなかった、が。
「君の使った回復魔法も身体強化も人命救助のための緊急措置だ。だから、罰則はない。せいぜい厳重注意というところで済むだろう。だが、おじさんたちとしては中学生がホイホイ魔法を使えるようになるのは困るのでね」
罰則はないという言葉に安堵する暇もない。
「どうやって魔法を会得したのか、教えてもらってもいいかな?」
魔法の知識の出所を問われて内心で僕は頭を抱えることになるのだった。
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痴女先輩が捕まると思った?
残念、ピンチなのは主人公の方でした。
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