瑞谷・千代1
「ごっ」
衝撃は上からではなく、横から来た。視界に映った空と資材がどこかに行って、横合いから地面が迫って来る。
「うぶっ」
突然のことに受け身どうこうでなく僕は地面に倒れて。
「ぐ、うぅ……ったい、なに、が」
呻きつつ身を起こして振り返った僕は、石になった。石になったように動けなくなった。散らばる資材の下に人の身体が、半分ほど覗いていた。
「や、ぁ……無事、だったか、竹……痴、く」
「先……輩?」
見知った人だった。訳が分からなかった。あり得なかった。
「嘘、だ」
痴女先輩は本編に出てくる登場人物だ。初登場も高校生としてで、あのラスボスが出すかもしれない死者もクラスメイトで、先輩が命を落とすエンディングなんて、ない。
「……キミ、との……これからの……付き合い、方に……ついて、いい案――」
何を言っているんですか。
「先輩……」
「もう、必要……も」
頭の中がぐちゃぐちゃで、何も考えられなかった。
「ぐっ、ぎっ」
無我夢中で資材を掴んで、力を籠めるが持ち上がらない。なら、どうすればいい、どうすれば動くというのか。
「罰せられる? 知るもんか! 知ったことかぁ!」
僕には原作知識があった。瞑想で培った魔法使いとしての実力があった。
「ストレングス――」
身体強化魔法の一つ、腕力強化。あるのは知っている、仕組みも知っている。なら、今やらずしてどうする。
「っがああああっ!」
重いともびくともしないとも思ったのが嘘の様だった。あっさり持ち上がったソレを僕は放り投げ。
「せん」
呼びかけようとして言葉を失う。先輩の顔が半分赤く染まっていて、同じ色が先輩の下のアスファルトに広がっていたのだから。
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お願い、死なないで痴女先輩!(略/パロディなんで後で消すかもです)
やはりいつもの長さは無理っぽいんで二つに分けます。
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