結論
「来た時にでも当人に引き取ってもらうしかないよね」
わかり切ったことではあった。僕が痴女先輩に渡す為持って行って何らかのアクシデントで人目につこうものなら人生が終わりかねないのだから。
「僕がやらかさなくても先輩がやらかさない保証もないわけで」
掃除道具入れに詰まっていたこととか、あちらのお父さんに露見したこととか、僕は忘れていないのだ。それに放っておいても先輩は学校終わりにわが家へやってくるのだから社会的地位的な意味での危険物を学校に持ってゆく必要もない。
「先延ばしに放ったけれど、考えようによっては昨日より状況は良い訳だし」
痴女先輩とも連絡はとれたので人目に付く危険を冒してまで接触を図る必要がなくなり、放課も昼放課の時間も大半を今後の対策を考えることに費やせるのだ。
◆◇◆
「とか思っていた時が僕にもあったわけですが……」
時間が豊富にあっても良案というのは思いつかないときには思いつかないものなのだと僕は思い知らされていた。いつの間にか授業も終わり、日は暮れないまでも校門へ向けての道を早めの部活動を終えた生徒たちが歩いている。
「はぁ」
痴女先輩を出迎える敵な意味で今日は放課後の学校に残っているわけにもゆかない。ため息一つ残して帰路に就き。
「もう、こんな季節なんだ」
街路樹の姿や空のありように季節を感じさせられる。今年の夏はあまり暑くならないと良い、なんて考えたのは別に視界の端に映った工事現場の労働者を慮ってではなく、これからも色々考え事がありそうな自分を鑑み、暑くて思考がまとまらないのは出来れば勘弁してほしいなと思ったからだ。
「けど、新しい建物、か」
わが国はダンジョンが残っている国の一つであるからか、前世のそれと比べてうらやましいほどに景気が良い。だから、工事現場や建設現場も珍しくはなく。
「え」
たまたま見上げた光景に声が漏れた。クレーンで吊り下げられた資材の束が空中でほどけ、降ってくる光景が。
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あれ? 主人公、大丈夫?
尚、こっちはお出かけの準備が難航してて次以降の更新大丈夫じゃないかもです。
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