打開策を求めて
「こう、『で、何の話でしたっけ?』って自分で話を振っておいて聞きたくなるぐらいにアレな状況があったわけですが」
飛ばせるなら記憶を飛ばしてしまいたいくらいに人として間違った方に痴女先輩が進んでしまうという事件の直後。仕切り直そうとして言葉を探した僕の口から出てきたのがそんなモノだった。
「つまるところ不自然ではない接点が竹痴君と私に出来ればよいのだろう? 互いに学生であることを踏まえると同じ部活動というのが無難なところだと思う。生徒会役員は選挙で選ばれるものであっていくら私が生徒会長でも役員を決める裁量権はないしな」
「いえ、何でさっきの変態一直線からそんな真面すぎる回答が出てくるんですか?」
僕の胸に顔を埋めたままという見た目はさっきとほとんど変わらない姿での痴女先輩の発言内容のギャップにめまいを覚えそうになるが、ある意味個の人らしいと言えばらしいんだろうか。
「竹痴君とこうして会えないのは私としてもとても困る。だから、この問題とは真摯に向かい合わざるを得ないだろう?」
「発言する格好が真摯とは程遠いんですが?」
「確かにそうかもしれない。だが、我慢した分自分でもこの思いを持て余しているんだ」
持て余してるのは思いなんて高尚な表し方をしていいようなモノじゃないような気がするんですかというツッコミが喉元まで出かかった。
「まぁ――」
痴女先輩とのこの時間が有益だったのは事実だ。妨害ありの瞑想で魔法使いとしての僕の自力は、おおよそ高校二年の二学期の平均的な学生のソレを上回りつつある。
瞑想自体が高校の授業では選択科目で週に三時間コマがあれば多い方なのを毎日、しかも伸びの良い妨害ありで行っているのもあるが、この実力の伸びの言い訳づくりの為に今世の両親へ予習と称して瞑想してる姿をみせたこともあって、瞑想を行っていること自体は痴女先輩とアレなことをしてる時だけに限ってないのだ。
おそらく、このまま自力が伸びてゆけば、「高校に入学後最初のダンジョン探索で無双する」みたいなことも可能ではある。
「それはそれ、かな」
これを誰かに言う気はないし、高めた実力を披露する機会もほぼないだろう。確かに中学生に見合わぬ実力をつけつつあるとは言っても、魔法を行使する面に限定されてで、肉体的な面では普通の中学生と何ら変わりないというところもあるのだ。
「竹痴君?」
「いえ、ただの独り言ですよ」
結局のところ、痴女先輩にこの関係を終わらせるつもりがなくて、僕もある種の恩恵は受けている以上、すべきは、まず。
「それで、先輩って部活は何部に入っていらっしゃるんでしたっけ?」
痴女先輩の上げた案について関係あるというか、根本的な質問することだった。
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痴女先輩の所属部活とはいったい?
いつもご愛読ありがとうございます。五月に入りお出かけが近づいてまいりましたので、準備等で明日以降の更新は毎日出来るか怪しくなってまいります。
どうぞご理解ください。
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