重要なことは忘れちゃいけない
「そもそも、今はなすべきはそこじゃないでしょう!」
僕は訴える。
「こう、傍聴の心配なく話合いできる状況なんですから、今後どうするかとかを話し合わないと!」
現状では痴女先輩の恋人を探るミーハーな学生たちのせいで人目のある場所では迂闊に痴女先輩と接触できないのだ。
「お互いの家を訪問する形にするとしても、家に入るところを目撃されたりとかしたら終わりですし」
流石に痴女先輩の自宅に張り付いてるレベルで根性の入った同じ学校の生徒は居ないと思いたいが。
「って、そう言えば先輩は家には普通に?」
「いや、流石にそこまで迂闊ではないよ。普段使わない地下鉄を乗り継いで若干迂回しつつ来た。キミの嫌がることをして嫌われるのは避けたいからね」
「アッ、ハイ」
こう、掃除道具入れに詰まっていた時は大丈夫かなと思った痴女先輩だが、流石にいつもああという訳ではないのだろう。
というか、割と気合の入った対策をしていたことを知って、どんな表情をしたらいいのかわからなくなりつつある。
「私がキミのおっぱいと二の腕をどれだけ渇望しているか、この本気度で理解してくれると嬉しい」
「壮絶に理解したくないんですが。理解したら終わりだと思うんですが」
痴女先輩はもう医者がレールガンてスプーンを射出するくらいには人として終わりなのではないだろうか。
「しかし、確かにこのまま人目を気にするとこれまでのような関係を維持するのは難しいというキミの見解には同意せざるを得ない」
「ですよね。ですから、この機会を利用して対策を立てたいんですが」
ぶっちゃけ痴女先輩が僕のおっぱいと二の腕を諦めるでもいいのだが、それが出来ていたら痴女先輩は自分のおっぱいを僕に好きにさせたりなどしていないだろう。
ある意味でこの執着をなくしてくれれば僕は大手を振ってダイエットに取り組めるし、悩みの種は減るのだが。
「ふぅむ」
腕を組むでも顎に手を当てるでもなく。
「すぅぅぅぅぅううううううう!」
唸るなり僕の胸に顔を埋めたままで痴女先輩はなんか息を大きく吸い込んだ。
「竹痴君! 私は今、キミを堪能する方法を一つ見つけ――」
「そろそろ本気でひっぱたいていいですか?」
女性に暴力をふるう男は最低だとどこかで聞いたことがあったが、時として最低でもいいのかもなんて気を迷わせてしまうことがあることを僕は学んだ。痴女先輩が六~七歩ぐらい人としての道を踏み外したのとおおよそ同じタイミングで。
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おかしいなぁ、意図せず痴女先輩がどんどんヤバくなってゆく。
こんなんでもお付き合いしてるとカチグミなんだろうか?
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