くるまのなかで
「前回までのあらすじ」
僕は朝、少し早く家を出て学校に向かっていたが、突然現れた黒塗りの車から出てきた先輩のおっぱいに顔を埋められて窒息し、気を失ってしまった。
唐突過ぎて意味不明だ、これから僕はどうなってしまうのか。
「とか現実逃避していた時期が僕にもありました」
目を覚ますと、先輩ともう一人、こう、先輩の面影のある男性と車の中に居て。
「娘がすまない」
と、男性の方に思いっきり頭を下げられて今に至る。
「あの、顔を上げてください。それから、もしかしなくても……」
「父だよ、竹痴君」
「でしょうね」
ひょっとして先輩との放課後のアレが発覚したのだろうか。だとすると謝罪するのはこちらの方のような気も少しするのだが。
全面的にこちらが悪いと思えないのは、あの関係は痴女先輩の希望で始まっていて、痴女先輩が望むが故に続いてるからだろうか。
「それで、先輩。何がどうなってこうなったのか、説明していただいても?」
「うん。将来的に結婚試合相手がいると父に打ち明けて、竹痴君がどのように素晴らしい男性かを話したら、こういうことになった」
「ええと」
もうこの時点で嫌な予感しかしなかった。痴女先輩が僕を父親にどう説明したかなんて考える必要もない。
「素晴らしい二の腕とおっぱいの感触の持ち主で、週五日その感触を堪能させていただいているんだ」
とか得意げに語るさまが想像できてしまうあたり僕も結構ヤバいのかもしれない。
「竹痴君も納得済みだし、責任を取って結婚する気でいるとも説明はしたんだ」
「それで『ならいい』って言う親は居ないと思いますよ?」
現に車で愛に来てるのだから。
「それはそれとして、お仕事は大丈夫なんですか?」
と、痴女先輩ではなくその御父上を慮って僕は尋ね。
「あ、ああ。気を使ってもらってすまないね。だが、今が通勤途中なんだ。君と娘を送り届けたら会社に向かうつもりなので問題はないよ」
「そうですか。安心しました」
どこかで問題になるかもとは思ったが、痴女先輩の親とは言えお仕事勤めの人に仕事を休ませるだとかそっち方面で迷惑をかけるのは不本意だったので、笑顔を作って僕の言った言葉に嘘はなく。
「君とはこういう形ではなくもっときちんとした形で話がしたいと思っている」
「アッハイ」
この分だと放課後の直揉みは有耶無耶になるかもしれないが、別の意味で大変なことが待ち受けてるのでは。車の窓からちらりと外を見つつ僕はまた現実逃避したくなっていた。
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といったあたりで、このお話はいったん幕とさせていただきます。
一応、完全な最終回ではなく、ラブコメで構成し直して書くとか「第一章 完」として続けるとかそんな感じの節目としてですが。
現状ではこの後に他者視点の外伝をいくつか挟んで、次章という流れとなります。
では、ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
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