年貢の納め時


「はぁ」


 結局、説得内容については思いつかないままに僕は誕生日を迎えることとなってしまった。


「ある種のお約束感はあるかな……」


 どうしようどうしようと悩んで、結局良案が出ず当日になる。あるあるだと思う。


「読み物とかだと超展開とかご都合主義でどうにかなるものだけどさ」


 現実にはそんなことは起こりえないものだ。考える時間を作るために早めに家を出たからか、通学路はやけに静かで。


「けど、放課後まではまだ時間がある」


 あきらめるには早かった。


「みんな、今、こうしてる間も努力してるんだしなぁ」


 学業に部活に恋愛に。ゲーム画面を通しては見えなかったそれぞれの暮らしがこうして転生すると時々見ることができて。


「思えば――」


 僕の努力だって無駄ではなかった気がする。将来の布石にはなってるんだ。


「諦めなきゃ、活路は開けるんだなって」


 そうだ、僕は何をもう終わった気でいたんだろう。


「僕も、残された時間、全力で――」


 それ以上、言葉をつづけるよりも早く、ブレーキ音が朝を切り裂いた。唐突に車のドアが開く音。


「な」


 強襲は相手の不意を突いてやってくるから効果があるんだろう。ふいにそんなことを考えた。

 弾かれた様に見た先、黒塗りの車のドアが開いて出てきたのは、銃を構えた暗殺者――。


「よりはマシであろうけれども」

「竹痴君!」


 放課後までの考える時間とか何故くれないんですかねと恨み言を口にしてもいいんだろうか。


「せん、ぱぶっ」

「誕生日、おめでとう!」


 それ以上何も言うかという様に僕は駆けよって来た先輩に抱き着かれ。おっぱいに顔を埋める形になれば何か言うどころか呼吸も出来ず。

 あっけなかった。

 唐突に殺されて以後回想でしか登場しなくなるアニメか何かの登場人物の様にロクに何もできなかったなぁと、場違いなことを考えつつ僕の意識は闇におちていったのだった。


***********************************************************************

「僕たちの戦いはこれからだ!」系エンドと迷ったのですが、こうなりました。


 こう、書いてて思ったのですが、この作品ラブコメで再構成した方がいいのかなぁ、とか。


 そもそもこの作品自体カクマラソンの連載用に始めたのだった気がするので、この辺で一端終わらせるのもアリかなとは思ってるんですよね。


 尚、ラブコメの場合、痴女先輩をもっと魅力的にしてヒロインに持ってくる必要があるのですが。


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