探索者になろう


「体型こんなですし、前衛職はいっそ選択肢から外して、魔法使いとか辺りになろうって思ってるんですが」


 痴女先輩との顔合わせの機会が一週間でおおよそ五回はあるからか、顔を合わせるとついつい色々なことを話す。

 この日、そんなことを口にしたのは、先日身体を動かしてみようと口にしたところからの流れだ。


「なるほどな、ダンジョン探索科に進学するつもりと聞いていたが、竹痴君はもうそこまで考えているのだな」

「竹之内です。先輩はどうされるおつもりですか?」


 原作知識で痴女先輩の進学科も僕は知っていたが、原作ブレイクが起きていることもありうると一応確認し。


「私もダンジョン探索科に進むつもりだ。キミが進学してきたなら一緒にパーティーを組むのもいい。ダンジョン内の安全地帯でキミの胸の感触を楽しむというのも背徳的でこう、想像するだけでゾクゾクするからな」

「あ、僕は探索ソロでするつもりなので」

「何故だ?!」


 当然のことを言ったら変態先輩に至極驚かれた。


「ダンジョンは内部を探索し、自身の成長と希少な資源や武具、道具などを手に入れる場所です」


 胸揉むだけならここがあるでしょうが、とツッコミを入れると痴女先輩と今の関係を完全に受け入れたことになってアレだが、それはそれ、これはコレだ。


「あとは異世界へ渡るつもりの探索者にはチュートリアル的な意味もあるんでしたっけね? 出てくるモンスターはあちらの世界では普通に存在するとか」


 僕たちがダンジョンへ潜る探索者として覚えてゆく剣技や魔法などもあちらの世界には一般に存在するモノで、中層を攻略してる探索者と同程度の強さの人なら、あちらの世界にもそれなりにいるのだとも聞く。


「ああ、あちらの世界からの『コイツ、こっちに渡して大丈夫か』って監視されてる場所でもあるんでしたっけ? だとしたら、そんな場所で不適切行為やらかす探索者は一発でアウトですよね?」

「……竹之内君は向こうの世界に渡るつもりなのか?」

「いえ、まだ決めかねてます」


 原作を知っているが故に渡ったらどうなるかも僕は知ってるわけだが、だからこそ決めかねているのだ。色々知っているが故に。


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