いいわけをしないこと、それに含まれる何か。

大学教授の雅弘とお見合い結婚をした梓。
彼と二人、幸せな日々を過ごす梓はしかしある日、彼が梓の知らない女性と子供と一緒に歩いているところを見てしまう──。

──いいわけはしないでおくよ。

ずっとそれを見たことを黙っていた梓から、遂にそのことを尋ねられて、雅弘はそう返した。

いいわけをしないということは潔いことでもあるけれど、そこに含まれる“何か”を感じ取ってもしまう梓の気持ちが身に染みる。

人と人との付き合いは本当に繊細で、複雑で。
いいわけばかりも良くないけれど、きっと時には、愛する人の為にいいわけをすることも必要だったりするのだ。
そんなことも思わせてくれた一編。