何度も自己犠牲は『いいわけ』と言われ続けて、パーティーを追放されたけど、チートスキルが本当だと分かったからって戻って来て欲しいって言われても、もう遅い

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第1話今日も『いいわけ』と罵倒されて、追放されたから自己犠牲を返して貰った。

幼馴染でパーティーメンバー『モカ』に最近は日課になった罵倒をされている。


いつも内容はほぼ同じで、俺が『使えない』『役立たず』ってことを語尾を荒げて聞くに堪えない言葉をぶつけてくる。


最近では反論もやめた。


何を言っても『モカ』は【いいわけ】って言って何も聞いてくれない。


そして、今日も反論は諦めて罵倒が止むのを待っていたのだが。


今日はいつもと何かが違う。残りの2人のパーティーメンバー『ゆうた』『けんじ』が何かニヤニヤして俺を見ている。


そして【モカ】から決定的な言葉が出て来た。


『もうケンはこのパーティーから出て行って』『あなたがいたらこのパーティーはいつまで経ってもA級になれない』『これはケンの為だから』


はぁ〜いつか出ると思ったけど、この言葉が出てしまった。


今までこの言葉が出ないのが不思議だったけど、パーティー追放系の発言は無かった。正直、それ系の言葉が出たらもう終わりだと思っていた。


そして今日、終わりの言葉が出て。


『モカ分かったよ』『モカには俺が何を言ってもいいわけにしか聞こえないんだよね』『パーティーを解散する?』『俺だけ抜ければ良い?』


もう説明するのもアホらしい。パーティー解散でも俺だけ抜けても良い。


好きにすればいい。


『え?止めいないの本当にクビにするよ』『もう戻れないのよ』


何か動揺してるようだけど、どうでも良い。


『もう別にどうでも良いから、とりあえずパーティーを抜ける処理をギルドでやっとくよ。パーティーはそのまま残しても解散しても良いから。』


『ゆうた』『けんじ』『モカ』


『俺の言ってた事が信じられないようだけど。まぁ〜3人で頑張ってくれ。じゃあな(頭の中で経験値回収を唱える)』


自分でも驚くほどあっさりと別れを告げて、その場をさった。


少しまだモヤモヤする部分もあるけど。


今の俺1人なら、かんたんにA級にもなれるし。能力を信じてくれる仲間がいれば更に上も目指せるはずだ。


そんな訳で、早速だけどギルドでまだ所属している状態の【青の道】からの脱退手続きをした。


脱退後は同じパーティーへの加入と1ヶ月間は他のパーティーに所属出来ない決まりがある。


1ヶ月間はソロか、他パーティーの助っ人加入扱いになる。


もう当分はパーティーを組むつもりは無いので1ヶ月間パーティーが組めないのは痛くも痒くもない。


ソロになった俺は、現在ランクCの冒険者。


他のメンバーはランクBになってるのに、俺がランクCから上がれないのも罵倒の原因だったが、俺のスキルが発動してる状態では、ランクBに上がるのは難しかった。


自分のランクの2個上の難易度クエストまで依頼を受注出来るので、即効でA級ランクのクエストを受注。


受付のお姉さんに警告されたけど。冒険者は自由。


警告はしてくれるけど、それでも受けたいと言えば渋々受けさせてくれる。


受付のお姉さんはパーティーを抜けて自暴自棄になって、クエストで死のうと思ってると勘違いしているようだが。そんなことは無い。


ソロであれば俺は最高ランクS級レベルの実力があると思う。


モカにも最初の頃は伝えていた。


彼女にはそれが【いいわけ】に聞こえていたようだけど。


A級クエストのターゲットは【豪傑のゴーレム】


通常のゴーレムはB級なので【青の道】でも討伐したことがある。


ただ、二つ名持ちの強さは別格!!とても【青の道】では討伐することは出来なかった。


そう。あの仲間達とでは。


俺はダンジョンに潜り。豪傑のゴーレムが現れる周辺で待機。


いつも不思議だが、先ほどまで何も無かった空間にお目当ての豪傑のゴーレムが現れた。通常のゴーレムでも3メートル程の大きさ。


豪傑のゴーレムは更に大きく4メートル近い大きさになるが…。


俺は武器を使うでも無く。豪傑のゴーレムの脚部分を殴り付けた。


拳が豪傑のゴーレムに触れた瞬間に、豪傑のゴーレムの右脚部分が一瞬で砕け散った。


そして。次は左足を殴り付ける。


左足も砕け散り、だるま落としの原理で胴体が落ちて来た。


これで胸にある弱点コアが狙える。


『さよなら豪傑のゴーレム』


誰も聞いてないのに、決め台詞をいいながら弱点コア部分を殴ると、豪傑のゴーレムが消えて。ドロップアイテムだけが残った。


ダンジョンではモンスターを倒すと。何故かモンスターは消えてドロップアイテムだけが残る。しかも、冒険者カードには自動で討伐情報が残るので証拠アイテムなども不要なのが便利。


ドロップアイテムを回収。


うん。やっぱりソロなら余裕だった。


俺はパーティーを組んですぐにEXスキルに目覚めた。


EXスキルの名前は【自己犠牲(自動/貯蓄)】


・スキル能力


戦闘時に自動発動。スキル保持者の基礎能力値が半分に下がる。また戦闘経験値が半分になる。


自己犠牲により仲間の基礎能力値が1.5倍になる。更に戦闘経験値が2倍になる。


俺1人が犠牲になれば、他のメンバーの基礎能力が1.5倍+経験値が2倍は破格のバフ効果だと思う。


効果の説明は続く。自己犠牲によりあなたは下記の特典を受けることができる。


【自己犠牲の回収】


・自己犠牲が発動している間に仲間が手に入れた経験値は任意のタイミングで回収することができる。


・自己犠牲の能力発動時間1時間に付き1犠牲ポイントが発生。自己犠牲ポイント数に応じて色々な特典と交換が可能。


自己犠牲には特典もあることで安堵したのを覚えてる。


そして最後の一文が全てを狂わせた。


※このEXスキルは本人以外には確認出来ない。


俺は最初能力を手に入れた際に仲間に、能力を口頭でしっかり伝えた。


そして戦闘になると自動で自己犠牲が発動して、俺は相当苦しかった。


ただ、仲間は説明通りに能力値が1.5倍になって、更に経験値が2倍になったようで急速に強くなり。今まで苦戦していたモンスターも余裕を持って倒せるようになった。


そこから勢いづいて元々C級パーティーだったら青の道は一気にB級…。そしてA級が見えて来た訳だが。


最初の頃は俺の能力に感謝していた仲間も。いつからか、俺を馬鹿にするようになった。


自分達は俺の自己犠牲スキルで能力1.5倍のバフを受けて更に経験値が倍、俺は能力半減で更に経験値も半分。当然戦闘では足を引っ張ることが増えた・・・。


ただ、俺は自分のスキルのおかげで強くなる仲間を見て嬉しかったが…。仲間はそうは思ってなかったらしい。


最初の頃の感謝は嘘のように、確認する事が出来ない能力を嘘と言うようになり。


【いいわけ】と言い出した。それでも幼馴染の仲間達。


どこかで変わってくれると信じて自己犠牲を続けた結果が追放だった。


本当馬鹿な奴らだよ。このスキルを手に入れた時は考えもしなかったけど。


【経験値2倍でごっそり溜めてた仲間3人分の経験値の力は凄いな。】


パーティーを辞める際にしっかりと全経験値を回収しました。そして自己犠牲ポイントで能力を上乗せした俺は既にSランク冒険者にも引けを取らないはず。


この後、経験値が回収されてレベルも昔に戻り。更には俺のバフ効果が無くなった元仲間はどうなるのか?


ざまぁ〜展開しか待ってないよな!?


まぁ〜今更戻って来てと言われた所で戻ることは無いけど。


そんなワクワクな展開に胸を躍らせながら、ドロップアイテムを持ってギルドに帰る。





















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