あんた、誰?

次の日、今日も今日とて野沢さんと登校している。


「ねぇ、野沢さん?」


「なんですか?」


「なんか昨日と違くない?」


「何がですか?」


「う、腕組んでたりとか……さ?」


「?別にいいじゃないですか?」


うん、全然良くない!周りから嫉妬の視線向けられるし、恥ずいし……


「ふふふーん♪」


まあ、でも野沢さんが楽しそうなら……「いいか」


「何か言いました?」


「え?いってないけど?」


そんなこんなで俺たちは教室に入るまで腕を組んで登校したとさ。



「やぁやぁ、待ってたよ!」


俺たちが教室に入ると、俺の机に誰かが座っていた。

そいつは俺たちの姿を確認すると、机から飛び降りてこちらへ向かってきた。


「へぇ、君が優奈の彼氏かな〜?」


「は?」


「ちょ、ちょっと!藍華さん!違いますから!変なこと言わないでください!」


「ん〜?その慌てっぷり、ほんとかなぁ?」


「ほんとですから!やめてください!」


俺の席の前で戯れ合うのやめてもらっていいですかね……可愛い……んんっ!

荷物置けないんだが……というか


「あんた、誰?」


「……へ?」


「いや、だから、誰?」


なんだろう、耳が遠いのか?


「ち、ちょっと待って?あたしのこと、知らない?」


「おう」


「ちっとも?」


「おう」


「なんで……なんで知らないの〜!?」


「は?」


「いやだから、なんであたしのこと知らないの?入学式の時、『美少女がいる』って噂になったし、高校に入ってから毎日のように告白されてるんだよ?それに、それに……」


「んなこと言われても、知らんもんは知らん」


「ガーン!」


なんか知らないだけで怒られたんだが?

結局誰なんだよ……


「まあまあ、1回落ち着いて。藍華」


「だってだって!こいつあたしのこと知らないっていうんだもん!珠莉もひどいと思うでしょ?」


「そういう人もいるでしょ。みんながみんな藍華に興味があるわけじゃないんだよ」


「なんだかんだ珠莉が1番ひどいじゃん!」


なんかイチャイチャしだしたんだが……


助けを求めるように野沢さんの方を見ると彼女は諦めて、とでもいうように肩をすくめた。


ーーーーーーーー

「さてと、お騒がせして申し訳ない。とりあえず自己紹介するね」


「はいはーい!私、宮松藍華みやまつあいか!優奈の親友やってまーす!」


「俺は東雲珠利しののめじゅり。よろしくな竹村くん」


「あ、ああ。よろしく……」


「ちなみに珠利はあたしの彼氏だよ〜」


「やっぱりか」


まああんだけいちゃついてたらそうだよな


「やっぱりかって、竹村くんひどくない?」


「はいはい、藍華は落ち着く」


またまた暴走しそうになった宮松さんを東雲さんが宥める。


「そういえば、なんで藍華さんたちは早くから私たちを待ってたんですか?」


「そりゃ、優奈の彼氏がどんなやつか……」


「藍華、一回黙って」


「はい……」


東雲さんの言葉によって野沢さんの問いに嬉々として答えようとしてしていた宮松さんはシュン……となった。


なんか宮松さん、子犬みたいだな。


「えっとね、竹村くん、体育祭でリレー走るでしょ?俺も出るからRaine交換したいなと思って」


「そうそう、そーなんだけど、なんか竹村くん、優奈とすぐ帰っちゃうんだもん。

だから放課後声かけるより朝早く学校に来て話したほうがいいかなと思って」


「なるほどな、それは悪かった」


「ううん。謝らなくていいよ〜。竹村くん悪くないしね」


ということで。東雲さんと宮松さんとRaineを交換した。


「ところでさ、優奈とどうやって仲良くなったわけ?」


「なんでそんなこと言うんだ?」


俺は宮松さんの言葉に少し警戒を覚える。


「ああ、ごめんごめん。別に離れろ〜とかいうつもりはないよ。ただ、クラスでずっと1人だっだ竹村くんと優奈が夏休み明けてから仲良くなってるんだもん。誰でも驚くよ?」


「藍華、言い方」


「そうだけど〜、珠利もそう思うでしょ?」


「い、いやまぁ、そうだが……」


「ほらほら、みんな気になるんだよ!だからね、教えてほしいな〜?」


宮松さん……めちゃくちゃ笑顔だけど、圧が……圧がすごい……


野沢さんを見ると、彼女は


「別にいいですよ、話しても」


「いいのか?」


「だって隠すことでもないですし。言ったって変わらないじゃないですか」


「そうか。なら話すよ」


ーーーーーーーー

「つまり……夏休みにナンパされてた優奈を助けて、そのお礼に竹村くんは勉強を教えてもらってて、たまたま家が隣同士ってことに気づいて、優奈にご飯を作る代わりに竹村くんは掃除をしてもらってる、そういうこと?」


「うん」

「そういうことですね」


「なにそれ!もうカップルじゃん!」


「違う(違います!)」


「どこが?話聞いてたら優奈、夜ご飯も作ってもらってるんでしょ?ほとんど一緒にいるんでしょ?」


「ええ、まぁ」


「いやそれ付き合ってるって!」


「付き合ってない(ません!)」


「まぁまぁ、藍華の言いたいこともわかるけど、今日はこれぐらいにしよう。そろそろホームルームの時間だ」


確かに今まで気が付かなかったが、教室には多くの生徒が登校してきていた。


「じゃあしょうがない。優奈、今日もお昼一緒に食べよ!珠利もいるから竹村くんも一緒にどう?」


「いいのか?」


「うん!優奈とのことも聞きたいしね!」


「そうかよ……じゃあまぁ同伴させてもらう」


「オッケー、じゃあまた後で!」


そう言って2人は席に戻って行った。


「疲れた……」


俺は机に突っ伏した。


「竹村くん、大袈裟ですよ……」


そんな俺を見て野沢さんは笑う。


「まぁでも悪い人たちではなかったな」


「そりゃそうですよ!なんたって私の親友とその彼氏なんですから!」


そう言って野沢さんは自慢げに笑う。


「はーい、ホームルーム始めるわよー」


と、ここで先生が入ってきた。

ま、今日も頑張りますかね。


ーーーーーー

こんばんは。

こちらも書けたので上げます。

ギリギリですみません。

今年度も「助けたギャルは隣の席の清楚な生徒会長でした」をよろしくお願いします。


追記

こちらも略称を募集します!コメントに書いてくれたらありがたいです!








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助けたギャルは隣の席の清楚な生徒会長でした 木漏日レン @lympha

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