夜ご飯と提案
「え、夜ご飯作ってくれるの?ホントに?」
「だからそう言ってんだろ。ちょっと持ってろ、食材取ってくる」
そう言って俺が部屋から出て行こうとすると、なぜか野沢さんも一緒に出てきた。
「なんで着いてくるんだよ」
「いやぁ、男の子の部屋ってどんな感じかなぁと思って」
「見ても何も面白くないと思うが」
そう話しながら自分の部屋に入る。
「お邪魔しまーす!」
「はいはい。見るなら勝手にどうぞ」
俺は勝手に入ってくる野沢さんを無視しながら夕食のメニューを考える。
「(うーん、キャベツが思ったよりいっぱいあるな……ならお好み焼きにするか…?お肉……もあるな。よし決まった)」
俺の用事は終わったので野沢さんを探しに行く。
「野沢さ〜ん?」
野沢さんは俺の部屋で洗濯物を畳んでいた。
「野沢さん?ありがたいけどなんと言うか……」
「思ってたより綺麗だね」
「お、おう。そりゃ、な」
「でもさ、綺麗でもないよね」
「うぐっ」
「だから、さ」
野沢さんは満面の笑みで言った。
「竹村くんがご飯作ってくれるなら、してあげてもいいよ、掃除」
「頼むわ」
「あら、即決だね」
野沢さんは意外そうな顔をした。
「いや、そりゃな。料理は好きだし、俺の苦手なことやってくれるんだったら断る理由がないだろ」
俺は苦笑しながらそういった。
「ふーん。なるほどね。ま、じゃあ交渉成立だ」
野沢さんは嬉しそうに笑った。
また、ドキリとした。
「と、とりあえず、戻るぞ。そろそろお腹も空くし」
「はーい」
野沢さんはまだニコニコ笑っている。
「(だから、その笑顔を俺に向けないでくれ。心臓に悪いから)」
ーーーーーーーーーー
「それで、何を作ってくれるの?」
「お好み焼きだ。ありきたりかもしれんが、いいか?」
「うん!私、好き嫌いはほとんどないから大丈夫!」
「そか、ならいいんだが」
「私は何したらいい?」
「んー、多分40分くらいで出来るからお箸とかの用意と皿洗い頼んでいいか?」
「オッケー!」
「あ、でも俺の箸とかあっちだな。どうしよ、取ってきてもらってもいいんだけど」
「あー、うちにお母さんとかが来た時の皿あるからそれ使いなよ。お箸は割り箸あるし。今から取りに行くの面倒だし」
「まぁ、確かにな。どの皿とかわかりにくいだろうしな」
「そうそう!だから使いなよ」
「じゃあそうさせてもらう」
そんな話をしているうちにお好み焼きが焼けた。
「おお、めっちゃ美味しそうじゃん!早く食べよ!」
「あいよ」
「「いただきます」」
「(上手くできたと思うんだが、口にあったかな……)」
「うんまぁ!!なにこれ、すごく美味しい!」
「そうか、そりゃよかった」
野沢さんに太鼓判を押されたところで俺も食べてみる。
「うん、うまい」
「(今日はいつもより上手く焼けた気がする)」
野沢さんはうまいうまいと言いながらすごく美味しそうに食べている。
「竹村くん家のお好み焼きはお肉が入ってるんだねぇ。うちはイカとかがよく入ってたなぁ」
「あぁ、後、タコとかだろ?あっちもうまいよな」
「そうそう!両方美味しいよねぇ」
野沢さんはその後、お好み焼きを2回おかわりした。
「ごちそうさまでした」
「お粗末様でした」
「竹村くん、すごいね、こんな美味しいなら毎日食べていたいよ、あっ」
「別にいいぞ、というかそういう約束じゃなかったか?」
「あっ、いや、うん、そ、そうだったね//」
「おい、大丈夫か?」
「あ、うん大丈夫大丈夫!じゃあ、休憩したらもう少し勉強する?」
「あー、いや、ここからは1人でやってみるわ」
「そ、そっか」
「(なんか目に見えて落ち込んでるんだが……?)」
「また、明日も教えてもらうつもりだったんだけど、そう思ってたの俺だけ?」
「あ、ご、ごめん!そうだよね、明日もあるんだよね!」
「おう、明日も同じ時間でいいか?」
「うん、じゃあ、また明日」
「え?」
「?」
「あ、いや、また……明日」
そう言って俺は野沢さんの家を出た。
「(野沢さん、料理すっごい喜んでくれたな……すごく嬉しかった……
また明日、か……言われたの……何年ぶりだろ……
彼女も俺の前から消えてしまうんだろうか……)」
俺は自室の窓から空を見上げる。さっきまで星が出ていた空は雲に覆われぽつりぽつりと雨が降っていた。
ーーーーー
どうもご無沙汰です。
こちらも1話書けたのであげます。
水曜日あたりにもう1話出せたら出しますね。
感謝
知らない間に「悪魔の契約ーdevil’s contract ー」が577位まで上がっていました!
ありがとうございます!こちらも頑張りますので応援よろしくお願いします。
https://kakuyomu.jp/works/16817330654529292434
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