うまくいかないこともある

中間選考が通らなかったって？

　もしもーし。

　さっきから浮かない顔をして。

　何を落ち込んでいるのですか？

　そんなに大変なことがあったんですか？

　なになに。

　頑張って書いた小説が中間選考に通らなかったんですか？

　それで、落ち込んでるって。

　もう書かないって。

　へぇ。

　貴方は、それでいいわけ？

　それで諦めてしまうの？

　今まで、一生懸命頑張って書いていたじゃない。

　あんなに毎日ウキウキしながら書いて。

　今日は何文字かけたーって、私に報告してくれてたじゃない。

　締め切りに間に合うかなーって。

　今日は徹夜だーって、何回も聞いたよ。

　そんなことしつつ、とっても楽しそうで。

　私も一緒に応援していた、あの作品だよね？

　書いてて、楽しかったんじゃないの？

　結果が出ないから、もう書かないって？

　書いてて楽しかった気持ちは嘘なんですか？

　貴方にとって、それだけの事だったんですか？

　小説を書くって。

　もういいだろって……。

　私は、楽しく小説を書いてるあなたが好きだよ。

　また書けばいいじゃない。

　もう書く気力が出ないって？

　私が見ててあげるから書いてみなよ。

　ほらほら。

　最初の一文書いて書いて。

　書き始めが難しいんだって？

　後からだって書き直していいよ。

　まずは書いてみてよ。

　私に楽しいお話読ませてよ。

　誰だって初めから面白い作品なんて書けないよ。

　何回だって挑戦してみたらいいよ。

　私が見てるから。

　大丈夫だよ。

　うんうん。

　あはは。書き始め、つまらないね。

　いいよいいよ、私の意見なんて気にしないでどんどん書いて。

　貴方の文章が好きだから、面白い作品ができるまで付き合うよ。

　弱音でも言い訳でもいっぱい吐きなよ。

　やめちゃうよりかは、何倍もいいよ。

　あれ？このキャラクターなんか私に似てない？

　それはちょっとダメだよ。

　私なんか出ても、面白くないよ。

　どうかこの話を書かせてくれって？

　いやだよ、恥ずかしい。それは却下です。

　え？なにそれ。

　いきなり何よ。

　私を必ず幸せにしてみせるって？

　……それなら面白い作品に仕上げてよ。

　……幸せにしてくれるまで、いつまでも待ってるからね。