いいわけ、ないよ!

なるるん

良い訳、無いよ

 鳥撮りは、楽しい!


 だけ、じゃない。


 大勢の人が集まってしまうと、やっぱり、トラブルがあったり、マナーの悪い人を見かけることも、ある。


 わたしに色々と教えてくれる先輩の鳥撮りさんいわく。


 明らかに立ち入り禁止の立て札のある私有地に入り込んだり。


 鳥の巣を見つけて、中まで確認したいからと、その巣の入り口を壊したり。


 撮影の邪魔になるからと、木や草を切り倒したり。


 ウソでしょ!?


 でも、本当にあるんだそうです。


 それ以外にも、鳥撮りさんの間でイザコザが起きたりすることもある。


 例えば。


 これはわたしも体験したこと。


 森の真ん中で、オオタカさんが獲物を捕らえてお食事中。


 沢山の人がそのお食事中のオオタカさんを囲むように集まって、撮影、観察。


 みんな『ここまでならいける』と言う距離を保って、オオタカさんを見守り、撮影、観察している。


 わたしは、さすがに前に出たらやばいと思ったので、前で撮っている先輩のすぐ後ろで撮っていた。


 わたしのすぐ横を、手持ちの入門カメラセットを持った若い男性が、一人、そろりそろりとオオタカさんに近付いて行く。


『ちょ!まっ!』


 おそらく、わたしを含めて、誰しもがそう思った、そう言おうとした瞬間。


 接近するその男性を意識したオオタカさんは食事を止め、獲物を抱えて飛び立った。


『あぁ・・・・』


 ため息が辺り一帯を覆う。


 もっと近くで、もっと大きく、もっときれいに、って、自己中心的な思いにかられると、きっと周りが見えなくなっちゃんだろうね。


 気まずそうに引き返す男性に、食って掛かる別の人。言い争いが始まったけど、わたしはすぐにその場を離れたので、その後どうなったかは知らない。


 こんな距離感は、おそらく体感しないと分からないんだろうね。わたしもわかんないから、先輩を見て、それを学ぶ。


 でも、もっとひどい体験をすることになった。


 いつもの公園でオオタカさんが木に停まったので、わたしも含めて、大勢の人が撮影、観察をしている中。


 見慣れない男性が三人。

 先輩さんの言うには、別の公園の常連さんで、この公園のオオタカさんの話を聞きつけてやって来たんだろう、って。


 その人たちが、言い出した。


「そこの木、じゃまだな・・・タカ見えねえ」


 よく見える場所は、いつもの常連さんが早くきてキープしてるので、後から来た人はあまりいい場所が見つけられなかったんだろう。


「切っちゃえ切っちゃえ」

「だな」


 もしかしたら、日常的にそういう事をやってるのかもしれない。


 ナタを取り出して、植え込みの中に入って行こうとする。


 え?ちょ!ま?まじ!?


 さすがに、それは、いいわけ無いよ!

 

 わたしのすぐ近くでやり始めたので、声を上げようとしたけど、相手はナタも持ってるし、男性三人。下手に声をかけてトラブルになることを恐れて声を上げることはできなかった。


 すぐに先輩さん達が止めに入り、連携して公園の管理人さんに連絡、警察まで来る騒ぎになったけど、『本当にあるんだ…』って、ちょっとブルーな気持ちになっちゃった。


 もちろん、自分ではそんな事をしないようにするのは当たり前として、きちんと注意できるだろうか?


 自分の立場を鑑みると、誰かに助力を乞うしかないかな、とも思うけど、色々と考えさせられる出来事、でした。


 ルールとマナーを守って、楽しい野鳥撮影、したいですね!

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