【読み切り】わがまま猫耳少女拾っちゃった!(プロトタイプ)

空豆 空(そらまめくう)

わがまま猫耳少女拾っちゃった!

 この話は、現在連載中の作品のプロトタイプとして書いたものです。

 会話メインで小説としての形をしていませんが、会話のテンポをお楽しみ頂けましたら幸いです。


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「あ、あのぉー私捨てられちゃったみたいです。拾ってもらえませんか?」


「え、ええ?? こんなところにネコミミ人間?」


「そんな珍しいものじゃないです。ただのしがないネコミミの生えた人間です!」


「あ、そうなの? それにしても捨てられたって物騒だなあ。警察行く?」


「そんな! 困ります! 警察なんて行ったら、なんだこのネコミミ生えた変質者は! とか言われちゃったり、人体解剖されちゃったりとか、あああ、考えただけでも恐ろしい」


「さっき、ただのしがないって言わなかったっけ?」


「ああ、謙遜ってやつです。とっても珍しいネコミミ族なんですよ、私。どうです? 一匹飼ってみませんか、おにーさん!」


「ええー。そんな軽いノリで『飼ってみませんか?』 とか言われても……」


「そんなあ! 今日泊まるところも食べるものもないんです! お兄さんだけが頼りなんです! 野宿なんて、嫌ですううう」


「……さすがに野宿はかわいそうかなあ?」


「でしょ? でしょ? 拾ってください。三食昼寝付き、おやつにアイスをくれたら他に何もいりませんから!」


「……ぜいたくだな。まあでも、女の子……いや、この場合メス? メスになるの? わかんないけど、とりあえず日が暮れたらかわいそうだからうちに来るか?」


「わあ!! なんて優しいんですか、ありがとうございますっ」





 ……カチャ

 ひとり暮らしの自宅に着き、玄関の鍵を開ける。




「まあ、狭いけど、入って」


「わああああ、ごしゅじんさま、いいベッドで寝てるんですねー!」


「えええ、もう勝手にベッドでくつろいでるし! しかも、ご主人様とか呼ばれてるし!」


「え? だってごしゅじんさま、そういうのが好きなんでしょ? ほら、ベッドの下に隠してある本がそんなのばっかり……」


「わああああ!! こら! 勝手にあさるな!! 隠してるんだから」


「えー隠してたんですか? ごめんなさい、もう触りません。ぜーんぶ、チェックしましたからっ」


「チェックしたんかーーい!」


「それはそうと、ごしゅじんさま、お腹すきました。ご飯まだですか?」


「ああ、ご飯……は、なに食べれるの? やっぱネコミミ生えてるくらいだから、魚とか食べるの?」


「えーフツーにたべますよ。高級ステーキとかあ、高級ステーキとかあ、高級ステーキとか!」


「……もういちど捨ててこようか」


「きゃああああ、捨てないで! ごめんなさい! ねこまんまとかでいいです。残り物でもいただけたら私はそれで!」


「さすがにそれはかわいそうだから、焼肉弁当でも買って来るよ。あと……なんだっけ、おやつにアイスとか言ってたっけ」


「はい! アイスはバニラアイスがいいですっカップ入りのやつ!」


「ああ、ハイパーカップかな」


「いえ、ハーゲンダッチ♡」


「高いわ、ぜいたくだから! おやつはハイパーカップね」


「仕方がない。ハイパーカップで我慢します。ポテチとコーラがあれば我慢できます。私、とってもいい子なんで!」


「……はい、もっかいダンボール入ってたところからやり直し」


「きゃああああごめんなさーい。でもでも、おにーさんはそんなことしないですよね? こんな時間に仮にもメスを、ダンボール箱に詰めて外に捨てたりなんて、そんな犯罪者みたいなこと、しませんよね?」


「……あああ。そんな言い方したら、本当に犯罪者みたいじゃないかあ! とりあえず買って来るから、留守番してて、ねっ」


「はーいっ」


 女の子は手を挙げて満面の笑みで返事した。



——

————


「……はあ、えらいもん拾っちゃったなあ。ちゃんと賢く留守番しててくれたらいいんだけど……」


——カチャ

自宅の玄関を開ける。


「ただいまあ」


「ごしゅじんさま、おそいです。

まだかまだかと心配しちゃったじゃないですか……」


「ああ、ごめんごめん、女の子ひとりで留守番は寂しかった?」


「だって! もうすぐ7時ですよ!? ワカメちゃんはじまっちゃう!」


「そっちの心配かよ!!」


「……ごしゅじんさまと一緒に見たかったんだもん」


 女の子の小さな声は俺には届いていない。


「おーーい、テレビつけたぞー?」



——

————



「ごっしゅじんさまあー!

あさ! あさだよっ! 起きて!

おーきーてー!!」



 枕元で声がする。

ああ、そうか、女の子泊めたんだっけ。


「ん?なんだよ、うるさい。今日は月曜日だけど祝日で休みなんだよ。もう少し寝かせて」



「んー、だーって、お腹すいたんだもん……

ごはーん! ごはーん!」


「はあああ、うるさい。冷蔵庫にあるものテキトーに食べといて」


「えっいいの!? やったあ!!」


 ……はあ、やっと静かに寝れる。



——

————



「……あーよく寝た! おはよー」


「あ、ごしゅじんさま、やっと起きてきた!

おはよー!!」


「それで? なんか食べたの?」


「うん! 食べたよっ 冷蔵庫に入ってた、ハーゲンダッチ♡」


「えええ! それはおやつ用に買っておいたのに!!」


「だって、なんでも食べていいって言ったじゃん!」


「言ったけど……まあいいや、お前のおやつ用のだから、今日のおやつはなしだからな!?」


「え? なんで? ハーゲンダッチもう一個あったよ?」


「それは、俺の分!」


「なーんだ、ごしゅじんさま、私と一緒に食べたくて二個買って来てたの? 仕方ないなあ、朝ごはん作ってあるから一緒に食べよっ」


「え? 朝ごはん? お前作れるの? だったらそれ食べたらよかったじゃん」


「だってー。一緒に食べたかったのにごしゅじんさま寝るとか言うから。もうお昼ご飯になっちゃったね」


「なんだ、お前も可愛いとこあるじゃん」


「へへへぇ。お掃除もしといたよっ」


「おお、ありがと。めちゃめちゃキレイになってるじゃん!! って、えええ、なんで俺のエロ本がキレイに本棚に並べられてるの!」


「えー? いつでも読めた方がいいかなーって思ってっ」


「いや、エロ本は、そういうものじゃないから!」


「えー!? ごしゅじんさま彼女とかいないでしょ? 隠す必要ないじゃん!」


「お、おまえ、なぜそれを…」


「じゃじゃーん!日記帳ーっ」


「それは! おれの! ポエム集!

じゃなくて、日記帳!!」


「あ、大丈夫だよ、あんまり見ちゃだめなものかなーって思ったから、こっそりとしか見てないから!」


「こっそりだろうと読んじゃだめ!

どのくらい読んだ!?」


「え? ほんの……32ページほど」


「きっちり全ページ読んでんじゃねーか!」


「ごめんなさい。私、ごしゅじんさまのこと……もっと知りたかったの」


「なんだ、おまえもしかして、おれのことす……き……?」


「だってさー、なんでも知ってた方がお願いごとしやすいじゃん?」


「……お、ま、え、なあ! 外ももう明るくなったし、ほれ、ダンボールやるから出て行くか?」


「……やだやだやだあ! まだ午後の分のハーゲンダッチ食べてないもーん!!」


「残ってるハーゲンダッチは、お、れ、の、だから!」


「え? 朝ごはん作ってあげたじゃん。食いしん坊だなあ」


「食いしん坊は、おまえだよ!」




「……ごしゅじんさま、私のこと……きらい?」


「……そんな顔するなよ。ほら、ベッドの中隠れてないで、出ておいで?」


「やだ。そろそろお昼寝の時間なの。邪魔しないで!」


「おまえなあ!……はあ、もういいよ、寝てろよ!」


「……怒んないでよー。だって。外明るかったらまた捨てるとか言うでしょ?

暗くなるまで寝たふりしてたら……今日も、泊めてくれるかなって。思ったんだもん」


「……そんな風に言われたら……捨てるとか言えなくなるじゃん。いいよ、今日はまた泊め……」


「ほんと? やーったあ! わーい、ごはんごはんっ

ごしゅじんさま、はやくはやく! お腹すいちゃったあ!!」


「え、おまえ、寝るんじゃなかったのかよお!!」



——

————



「あーおいしかった! 意外だなあ。

お前が料理できるなんて!

……って……おーい。こら、眠いのか?

眠いなら寝て来いよ。俺のベッド使っていいから」



「んー? やだ。 寝ない。眠くないもーん」


「明らかに眠そうじゃん。そーいえばお前、夜はちゃんと寝てたのか? 疲れてたし俺が先に寝ちゃったけど、お前どうしてたの?」


「ん、起きてた」


「徹夜して、料理して、掃除してくれてたのかよ

途中だいぶいらんこともしてくれてたけど」



「へへ。ちょっとくらいは、喜んでもらいたかったんだもん。……あーあ。だめだ。ねむいやあ。ハーゲンダッチ食べるまでは、起きてたかったのになあ……」


(すーすーすー)


「あーあ。寝ちゃった」


 寝てたら、可愛いのにな、こいつ。



「ねーごしゅじんさまー? さみしい。一緒に寝たい」


「え、なに、急に」


「ねー、さーみーしーい」


「わがままか」


「わがままな子は、きらい? みゆはご主人様すきだよ」


「え、す、すきって、なんだよ

またどうせいらんこと言い出すんだろ」


「じゃあ、いらないこと言わないように、

ちゅーして。くちふーじ!」


「な、なんでそーなるんだよ」


「えー? みゆがちゅーしたいから。

だめ?」


「……だ、め! ほら、早く寝ろ。

寝ぼけてるからそんなこと言うんだろ。

どーせ目が覚めたら俺のことなんか……」


「……だって、目が覚めてる時はそんなこと、恥ずかしくて言えないじゃん」


「……おまえ、なんだかんだ、起きてない?」


「はーい、ごしゅじんさま、うるさいでーす。

……ちゅーしてい?」


「だ、だめ」


「じゃあ、ちょっとだけ、一緒に寝よ?」


「……はあ。仕方ないな……ちょっとだけだからな」


「うんっ」



——俺が布団の中に入ると、猫耳少女は嬉しそうな顔をしながら俺に抱きついた。


そして俺はこいつに抱きしめられたまま、身動きも取れなくて……


 祝日月曜日の昼下がり。俺は猫耳少女を抱きしめながら、一緒に夢の中に落ちていた。



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読んでいただきありがとうございました。


☆こちらの続編公開しました☆


【読み切り】わがまま猫耳少女に襲われた!

『ねぇ、ちゅーしたい。だめ?』ベッドで言われる甘いわがまま

https://kakuyomu.jp/works/16817330654526743369


ついでに連載の方もよろしくお願いします。

プロトタイプとは全然違う内容になってます!!


日間ランキング最高38位

【連載】『拾った猫耳少女が俺にだけ甘えん坊過ぎて困る!』

〜こんな俺が!?天然・純粋・かわいい猫耳娘と甘々同棲ライフ〜

https://kakuyomu.jp/works/16817330654422714055/episodes/16817330654422821006


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【読み切り】わがまま猫耳少女拾っちゃった!(プロトタイプ) 空豆 空(そらまめくう) @soramamekuu0711

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