2000文字強の短編ですが、一人の男の人生を追う事ができる見事な構成。繰り返される遅刻の数々と、それに対する周囲の反応。最後に遅刻した彼を待っていたのは……。作者は長年X (Twitter)で140文字のショートショートを投稿し続ける短編の申し子。面白くないわけがない。是非2000文字読んで、2000文字とは思えない読後感を味わって下さい!
出だしこそ、遅刻の言い訳の大法螺が並べ立てられているようにしか見えませんが、それは本当に最初だけ。やがて多くの要素がゆるやかにつながり始め、現実とリンクし始め、最後には両者が一本の線で結ばれます。結ばれた瞬間に生まれる感慨の深さは、情報の魅せ方の巧みさにもよるものかと思います。明示するところ、しないところ。つながりを「読み手の側で」発生させるために、慎重に選択されているように感じます。楽しませていただきました。ありがとうございました。
このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(951文字)
小さな波のような心地よさ。何度読んでも面白いです。
日常でも遅刻の言い訳、あれこれ考えてしまいますよね。でもこれだけぶっ飛んだ言い訳が流れるように出てきたら、それはもう文学ですね。面白い短編でした。