如月弥生、夢見!(KAC2023⑦いいわけ)

風鈴

如月弥生は、また夢を見た!

 アンラッキーナナ(召喚した妖精?らしいモノ)を再び赤本(魔導書らしい)に戻し、如月弥生きさらぎやよいはバブ(赤本から初めて召喚した大悪魔らしいモノ)に問うた。


『バブ、あんた、この本の中に戻らないのはなぜなの?』


 そう、弥生はバブをぬいぐるみに封じ込めたが、その後、赤本に戻るように、ナナを本に戻してから何度か試みたのだ。


『我は尊い神にして大魔王だからな!くはははは!』


『答えになってないわよ。なぜなの?やり方がナナとかとは違うって事よね?教えなさい!』

『はあ?そこまで教える義理はねーぞ!』

『肉、欲しくないの?』


あるじ、忠告しといてやる!一端約束をしたなら、それを反故にした場合はそれ相応の報いを受けるぞ!』

『脅し?それとも脅迫?それに約束って、オカシイな?わたし、直ぐにお肉をあげるとか言ってないよね?ねえ、言ってないよね?』


『そんなあ~、聖女がそんなんでいいわけ?』

『聖女?・・知ってたの、それ?』

『まあ、神だし』


『あら、それじゃあ言うけど、神が酔っぱらって、深夜に、か弱い女子高生の私に小娘~とか言って襲おうとしてもいいわけ?』

『えっ?まあ、大魔王だし?』


 ――――この赤本にある悪魔達って、ひょっとして、この正反対の暗示が込められてるってこと?そして、見出しの文字がそのまま真名ではないのか、あるいは呼び出しの名前が違うのか?これは、まだまだ検討しなくちゃね。


 その夜、弥生は夢を見た。


 ♢


あめなるや 弟織女おとたなばたの うながせる 玉の御統みすまるの あなたまはや」


 夷曲ひなぶりの舞を踊る。


「わたしは、今、本当の愛を得たんだわ。嬉しくて、舞わずにいらりょうか?」


 ――――ここは?宮中?わたし・・とても浮かれてる。


 場面が変わった。

 ――――えっ?ここは?産屋?わたし・・赤ちゃんを抱いてる!


「この子、愛するこの子のためには、何だってするわ!」

 わたしは、そう呟くと、大毘々命おおびびのみことが来るのを待ち遠しくしていた。


 また場面が変わった。


 目の前に流れるのは、率川いざがわ

「はねかづら 今するいもを うら若み いざ率川いざがわの 音のさやけさ」


 こんな歌を歌ってくれたわね。

 若くないけど、若いとか言ってくれて…。

 ここから始まったのよ!


 ――――はあ?ナニが?わかんないわ…。


 あの時は、お道化どけて、はねかずらをつけたわ。

 でも今は、この勾玉よ。


 ――――この勾玉?何か、チカラを感じる…。そして、これは?鏡よね?


 私は鏡を裏返しにして箱にしまった。


 ――――えっ?この裏にある文字って?


 その鏡の裏には赤本と同じ文字が刻まれていた。


 ――――何て書いてあるのか、確認しなくちゃ!


 ♢


 そこで目覚ましが鳴った。


 ――――夢?まただわ。はっきりとした夢。いったい、この夢は?


 弥生は、朝は時間が無いので、また放課後、学校の図書室の片隅で調べた。


 調べているうちに、イメージが出来上がり、勾玉が一個、唐突に出現した。


 ――――これ、八尺瓊勾玉やさかにのまがたまの一つね。絶対にそうよ!あの夢で見たのとそっくり。


 なぜ、弥生はそんなモノを手に出来たのか?

 それは長くなるので、また、後の機会に。


 了


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如月弥生、夢見!(KAC2023⑦いいわけ) 風鈴 @taru_n

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