行き倒れを拾った結果。これって浮気になりますか?

鷺島 馨

行き倒れを拾った結果。これって浮気になりますか?

「だって私サキュバスなんだもん!」


 空想上の存在であるサキュバスと名乗ったのは俺の上で全裸のまま跨っている少女。


 この少女との出会いはほんの一時間前。

 夜中に俺の目の前でふらりと倒れたのを抱き止めたその少女の口から溢れた「お腹すいた……」という言葉に飲食店やコンビニより近い俺の家に担ぎ込んだ。決して下心があったわけじゃないからな!


 家に帰ってすぐに食べられそうなものは冷凍のパスタくらいしかなかった。

「ちょっと待っててくれよ」

 ソファーに寝かせておいた行き倒れに声をかけて調理(電子レンジでチン)を始めた。

 そこで後ろから抱きつかれた。そこまでは記憶がある。


 それで目を覚ましたら冒頭の状況だった。

 下のお口で美味しくいただかれる直前だったからセーフと思ったところで玄関がガチャっと音を立てた。最悪だぁ!

 合鍵を使って入ってきたのは俺の彼女。最悪のタイミングで一番来て欲しくない人物がやってきた。

「まずい、マズイ!? どうするこの状況!? どう説明する!?」

 火事場の馬鹿力とでも言えばいいのか少女が下ろそうとする腰を寸でのところで腰に手を当てて防ぐ事には成功した。


「いないの〜」

 呑気な声をあげて寝室に入ってきた彼女はビシッと動きを止めた。

「な、な、何やっとんじゃあぁ!!」

 ズドンと音を立てて少女の脳天に落とされた彼女の踵落としは俺が必死に守っていたものを無駄にした……

「ぐっ!?」

「ぐふっ!?」

 ブチチっという音と強烈な締め付け、先端が何かに咥えられたような感触に飲み込まれた。


 ビクビクと身体を振るわせている最中に少女はペイッと剥がされた。

 ぬぽっと抜けた俺と少女の間には赤いものが飛び散った。


 防いでいたものをまさか彼女によって突き込まれるとは思っていなかった俺と初めてを最低な形で散らしたサキュバスっ娘を前に彼女はいいわけを始めた。


「だって、えっちしてると思ったんだもんっ!」

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行き倒れを拾った結果。これって浮気になりますか? 鷺島 馨 @melshea

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