俺は小説が書けない

水城みつは

新部長

「先輩、俺は新部長への就任は辞退します」

新部長を決めるための定例会で現部長である彼女に対してそう言った。

「ふむ、いいわけを聞こうか」

特に驚いた様子も見せず、理由を聞いてくる。


「今回の一連の投稿は部長にふさわしいかを決める勝負でもあったじゃないですか」

そう、お題に基づいて投稿を行うこのキャンペーンで彼女との勝負をしていたのだ。

「今日も含めて16日間投稿してみて思ったんですよ。

小説自体書くの初めてだったんですけど、俺、小説がかけないなぁ、と」


「先輩、先輩なのに小説書いたの初めてだったんですか!」

後輩が何気に失礼な驚きの声を上げている。

「で、16作品連日投稿ですか…… 控えめに言って馬鹿では?」

姉妹揃って口が悪い。


「確かに、何をもって小説が書けないというのか理解できんな」


「まず、アイディアがでないんです」

お題があったから何とか絞り出していたが、0から1を作る行為が向いていないのが良く分かった。

「それに、書き出しても300文字ぐらいで力尽きます」

ラッキー7賞もあったので、777字ぴったりにしようとしたおかげで無理矢理水増しして何とかはした。

しかし、文字数の制約がなかったら書けなかったと思う。


「けど、毎日投稿してたじゃないですか」

「ソシャゲのデイリーミッションとかこなさないと落ち着かないタイプなんだ。

それに、書くごとに引き出しのなさが露呈して辛い」

結局、同じ世界観を何度がつかってしまったのが悔しい。


「つまり、小説が書けないから部長にはなりたくない、そう言うことだね」

「えぇ、その通りです」


まぁ、元々部長などとめんどくさそうなことはやりたくないのだ。


「わかった、君が小説を書かないと言うのであれば仕方があるまい。

新部長は小説を書かないために手が空くことになる君に決定としよう。

皆、喜ぶが良い雑事は新部長が請け負ってくれるので執筆が捗るな」


あれぇ……


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俺は小説が書けない 水城みつは @mituha

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